この話の舞台
601号室からの漏水、105号室の騒音、ペット
ひだまり船橋マンション(分譲マンション)|船橋市、駅徒歩12分|築45年(旧耐震)・RC造6階建て・24戸
到達目標と条件
目標1上階からの漏水で、原因が専有部分か共用部分かによって、責任を負う人と費用の出どころがどう変わるかを言える。
| 原因/場面 | 責任・扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 専有部分内 | 上階の区分所有者が負う | 民法709条 |
| 共用の縦管 | 管理組合が負う(無過失責任) | 民法717条 |
| 原因不明 | 共用部分の瑕疵と推定 | 区分所有法9条 |
| 施工不良判明 | 求償できる | 717条3項 |
| 枝管の帰属 | 構造・設置場所で個別判断 | 最判平12.3.21 |
ひっかけ: 枝管は「一律共用」ではなく構造・設置場所で個別判断
くわしく(8項目)
- 誰が: 原因が専有部分内(給水管・給湯器・洗濯機ホース等)なら上階の区分所有者、共用の縦管(パイプスペース内の本管)なら管理組合が責任を負う。
- 誰に: 損害を受けた下階の区分所有者・第三者に対して。
- いつ: 通報直後の現地確認・原因調査の段階で線引きする。
- 何を: 損害賠償(修理費・被害物の弁償)。
- どの書類: 事故報告書、保険金請求書。
- 条文・数字: 民法709条(不法行為)、717条(工作物責任、占有者→所有者は無過失責任)、区分所有法9条(原因不明は共用部分の瑕疵と推定)。
- 例外: 施工不良なら求償できる(717条3項、716条)。使用者責任(715条)は被用者に不法行為が成立していることが前提で、求償は715条3項で可能。
- ひっかけ: 「枝管はいかんにかかわらず共用」は誤り=構造・設置場所で個別に判断する(最判平12.3.21)。
目標2迷惑行為への対応が、注意から勧告、訴訟、競売へと段を上がること、その各段に必要な決議と手続を言える。
| 段階 | 要件 | 条文 |
|---|---|---|
| 注意 | 理事長単独で通知 | 委託契約書12条 |
| 勧告・指示・警告 | 理事会決議で理事長が実施 | 規約67条1項 |
| 57条訴訟 | 普通決議、弁明不要 | 区分所有法57条 |
| 58条訴訟 | 出席者の各4分の3、弁明必要 | 区分所有法58条 |
| 59条 | 58条2項準用、確定から6か月以内 | 区分所有法59条 |
| 60条 | 58条2項準用、占有者に弁明 | 区分所有法60条 |
| 規約違反差止め | 理事会決議のみで理事長が追行 | 規約67条3項 |
ひっかけ: 59条は58条2項準用で出席者の各4分の3必要。「過半数」は誤り
くわしく(8項目)
- 誰が: 勧告等は理事長(理事会の決議を経て)。訴訟提起は管理者又は集会で指定された区分所有者。規約・使用細則違反の差止めは理事会決議だけで理事長が訴訟追行できる(規約67条3項)。
- 誰に: 「区分所有者等」=区分所有者、その同居人、専有部分の貸与を受けた者、その同居人まで含む(規約67条1項)。占有者にも6条1項が準用される(6条3項)。
- いつ: 掲示→注意(委託契約書12条)→勧告・指示・警告(規約67条1項)→総会の特別決議で訴訟(57〜60条)。段は飛ばせないが各条の要件は独立。
- 何を: 停止・使用禁止・競売・引渡し。
- どの書類: 注意書、勧告書、総会議案、弁明の機会の通知書。
- 条文・数字: 57条=普通決議・弁明不要。58条=出席者の各4分の3・弁明必要。59条=58条2項準用・確定から6か月以内。60条=58条2項準用・弁明は占有者。
- 例外: 区分所有法57条2項の訴え(総会決議必要、規約48条十一号)と、規約・使用細則違反の差止め(理事会決議のみで可、規約67条3項)は根拠が違う。
- ひっかけ: 「57条にも弁明が必要」「58〜60条は総数の各4分の3」「59条は過半数で足りる」「60条は貸主にも弁明」はいずれも誤り。
目標3民法の不法行為・工作物責任・受忍限度を、マンションの場面に当てはめて言える。
| 論点 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 不法行為 | 故意・過失で権利侵害→賠償 | 民法709条 |
| 工作物責任 | 占有者→所有者、所有者は無過失責任 | 民法717条 |
| 使用者責任 | 被用者に不法行為成立が前提 | 民法715条 |
| 求償 | 使用者→被用者へ求償可 | 715条3項 |
| 受忍限度 | 数値基準なし、比較衡量で判断 | 判例 |
| 共同利益違反 | 物理的迷惑に限らず中傷も含む | 判例 |
ひっかけ: 受忍限度に明確な数値基準はない。「基準がある」は誤り
くわしく(7項目)
- 誰が/誰に: 709条=故意・過失で他人の権利・利益を侵害した者→被害者。717条=工作物の設置・保存の瑕疵→まず占有者、次に所有者(無過失責任)。
- いつ: 損害発生時。時効は知った時から3年、不法行為の時から20年(民法719・722・724条、参考)。
- 何を: 損害賠償。
- 条文・数字: 民法709条・717条・715条(3項求償)・716条(注文者原則免責)・209条(相隣関係)。区分所有法6条1項・3項(共同の利益に反する行為、占有者に準用)。
- 受忍限度: 数字の基準はなく、必要性・合理性と受ける不利益を比較衡量して判断する(判例)。
- 例外: 共同の利益に反する行為は騒音・ペット等の物理的迷惑行為に限られず、暴力団事務所としての使用や役員へのひぼう中傷も含まれ得る(判例)。
- ひっかけ: 「受忍限度に明確な数値基準がある」は誤り。「共同の利益に反する行為は物理的迷惑行為に限る」も誤り。
覚える数字と条文
| 数字・条文 | 内容 |
|---|---|
| 57条=停止等の請求、普通決議、弁明不要。 | |
| 58条=使用禁止、出席者の各4分の3、弁明必要。 | |
| 59条=競売、58条2項準用で同じ決議、判決確定から6か月以内に申立て。 | |
| 60条=占有者への引渡し、58条2項準用で同じ決議、弁明は占有者に。 | |
| 民法709条(不法行為)・717条(工作物責任、占有者→所有者は無過失責任)・715条3項(求償できる)・716条(注文者は原則免責)。 | |
| 区分所有法9条(原因不明は共用部分の瑕疵と推定)・6条1項/3項(共同の利益に反する行為、占有者にも準用)。 | |
| 標準管理委託契約書9条(緊急時の業務、1号=自然災害、2号=火災・漏水等)・14条(立入り、緊急時は承認不要で事後報告)・19条(免責、管理業者の責めによらない場合)。 | |
| 標準管理規約23条4項(理事長の緊急立入り)・24条・24条の2(保険、保険金請求は理事長が代理)・67条1項(勧告等、相手は区分所有者等)・67条3項(理事会決議で訴訟追行できる範囲)。 | |
| 2026年改正の新制度: 46条の2(所有者不明専有部分管理命令)・46条の8(管理不全専有部分管理命令)・46条の13(管理不全共用部分管理命令)。46条の9第2項=管理不全専有部分管理人は集会で議決権を行使できない。規約67条の4・67条の5=理事長が理事会決議を経て請求。 |
実務の流れ
ひっかけ一覧
- 枝管は「その構造及び設置場所に照らし」共用部分か判断する。「いかんにかかわらず共用部分」は誤り。
- 使用者責任(715条)は被用者本人に不法行為が成立していることが前提。「成立しなくても使用者責任が生じる」は誤り。
- 715条3項=使用者は被用者へ求償できる。「求償できない」は誤り。
- 57条の訴訟提起に弁明の機会の規定はない。「57条にも弁明が必要」は誤り。
- 58〜60条の決議要件は2026年4月改正で「総数の各4分の3」から「出席者ベース+定足数、出席者の各4分の3」に変わった。改正前の年度の過去問は母数だけ読み替える。
- 59条は58条2項を準用するので出席者の各4分の3が必要。「過半数で足りる」は誤り。
- 60条の弁明の機会を与える相手は占有者のみ。「貸主である区分所有者にも必要」は誤り。
- 規約・使用細則違反の差止め訴訟は理事会決議で理事長が追行できる。「総会決議が必要」は誤り(総会決議が必要なのは区分所有法57条2項の訴え)。
- 暴力団員であることが判明したときの解約は「何らの催告を要せずして」行える。「相当の期間の催告後」は誤り。
- 管理不全専有部分管理人は集会で議決権を行使できない(46条の9第2項)。
- 賃借人にも理事長は直接、勧告・指示・警告ができる。「賃借人には直接言えない」は誤り。
- 民法209条以下の相隣関係・受忍限度に明確な数値基準はない。必要性・合理性と不利益の比較衡量で判断する。
到達目標(教科書)
目標1上階からの漏水で、原因が専有部分か共用部分かによって、責任を負う人と費用の出どころがどう変わるかを言える。
| 原因/場面 | 責任・扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 専有部分内 | 上階の区分所有者が負う | 民法709条 |
| 共用の縦管 | 管理組合が負う(無過失責任) | 民法717条 |
| 原因不明 | 共用部分の瑕疵と推定 | 区分所有法9条 |
| 施工不良判明 | 求償できる | 717条3項 |
| 枝管の帰属 | 構造・設置場所で個別判断 | 最判平12.3.21 |
ひっかけ: 枝管は「一律共用」ではなく構造・設置場所で個別判断
- 誰が: 原因が専有部分内(給水管・給湯器・洗濯機ホース等)なら上階の区分所有者、共用の縦管(パイプスペース内の本管)なら管理組合が責任を負う。
- 誰に: 損害を受けた下階の区分所有者・第三者に対して。
- いつ: 通報直後の現地確認・原因調査の段階で線引きする。
- 何を: 損害賠償(修理費・被害物の弁償)。
- どの書類: 事故報告書、保険金請求書。
- 条文・数字: 民法709条(不法行為)、717条(工作物責任、占有者→所有者は無過失責任)、区分所有法9条(原因不明は共用部分の瑕疵と推定)。
- 例外: 施工不良なら求償できる(717条3項、716条)。使用者責任(715条)は被用者に不法行為が成立していることが前提で、求償は715条3項で可能。
- ひっかけ: 「枝管はいかんにかかわらず共用」は誤り=構造・設置場所で個別に判断する(最判平12.3.21)。
目標2迷惑行為への対応が、注意から勧告、訴訟、競売へと段を上がること、その各段に必要な決議と手続を言える。
| 段階 | 要件 | 条文 |
|---|---|---|
| 注意 | 理事長単独で通知 | 委託契約書12条 |
| 勧告・指示・警告 | 理事会決議で理事長が実施 | 規約67条1項 |
| 57条訴訟 | 普通決議、弁明不要 | 区分所有法57条 |
| 58条訴訟 | 出席者の各4分の3、弁明必要 | 区分所有法58条 |
| 59条 | 58条2項準用、確定から6か月以内 | 区分所有法59条 |
| 60条 | 58条2項準用、占有者に弁明 | 区分所有法60条 |
| 規約違反差止め | 理事会決議のみで理事長が追行 | 規約67条3項 |
ひっかけ: 59条は58条2項準用で出席者の各4分の3必要。「過半数」は誤り
- 誰が: 勧告等は理事長(理事会の決議を経て)。訴訟提起は管理者又は集会で指定された区分所有者。規約・使用細則違反の差止めは理事会決議だけで理事長が訴訟追行できる(規約67条3項)。
- 誰に: 「区分所有者等」=区分所有者、その同居人、専有部分の貸与を受けた者、その同居人まで含む(規約67条1項)。占有者にも6条1項が準用される(6条3項)。
- いつ: 掲示→注意(委託契約書12条)→勧告・指示・警告(規約67条1項)→総会の特別決議で訴訟(57〜60条)。段は飛ばせないが各条の要件は独立。
- 何を: 停止・使用禁止・競売・引渡し。
- どの書類: 注意書、勧告書、総会議案、弁明の機会の通知書。
- 条文・数字: 57条=普通決議・弁明不要。58条=出席者の各4分の3・弁明必要。59条=58条2項準用・確定から6か月以内。60条=58条2項準用・弁明は占有者。
- 例外: 区分所有法57条2項の訴え(総会決議必要、規約48条十一号)と、規約・使用細則違反の差止め(理事会決議のみで可、規約67条3項)は根拠が違う。
- ひっかけ: 「57条にも弁明が必要」「58〜60条は総数の各4分の3」「59条は過半数で足りる」「60条は貸主にも弁明」はいずれも誤り。
目標3民法の不法行為・工作物責任・受忍限度を、マンションの場面に当てはめて言える。
| 論点 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 不法行為 | 故意・過失で権利侵害→賠償 | 民法709条 |
| 工作物責任 | 占有者→所有者、所有者は無過失責任 | 民法717条 |
| 使用者責任 | 被用者に不法行為成立が前提 | 民法715条 |
| 求償 | 使用者→被用者へ求償可 | 715条3項 |
| 受忍限度 | 数値基準なし、比較衡量で判断 | 判例 |
| 共同利益違反 | 物理的迷惑に限らず中傷も含む | 判例 |
ひっかけ: 受忍限度に明確な数値基準はない。「基準がある」は誤り
- 誰が/誰に: 709条=故意・過失で他人の権利・利益を侵害した者→被害者。717条=工作物の設置・保存の瑕疵→まず占有者、次に所有者(無過失責任)。
- いつ: 損害発生時。時効は知った時から3年、不法行為の時から20年(民法719・722・724条、参考)。
- 何を: 損害賠償。
- 条文・数字: 民法709条・717条・715条(3項求償)・716条(注文者原則免責)・209条(相隣関係)。区分所有法6条1項・3項(共同の利益に反する行為、占有者に準用)。
- 受忍限度: 数字の基準はなく、必要性・合理性と受ける不利益を比較衡量して判断する(判例)。
- 例外: 共同の利益に反する行為は騒音・ペット等の物理的迷惑行為に限られず、暴力団事務所としての使用や役員へのひぼう中傷も含まれ得る(判例)。
- ひっかけ: 「受忍限度に明確な数値基準がある」は誤り。「共同の利益に反する行為は物理的迷惑行為に限る」も誤り。
マンションにおける不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、適切なものはいくつあるか。 ア マンション管理業者は、自らが雇用する管理員が、その業務の執行について第三者に損害を加えたときは、当該管理員個人に不法行為が成立しなくても、使用者責任を負う場合がある。 イ マンション管理業者は、自らが雇用する管理員が、その業務の執行について第三者に損害を加えた場合、使用者責任に基づいて当該第三者に対してその賠償をしたときでも、当該管理員に対して求償権を行使することは認められない。 ウ マンションの専有部分にある浴室から水漏れが発生し、階下の区分所有者に損害が生じた場合、当該専有部分に居住する区分所有者は、その損害を賠償する責任を負うが、水漏れの原因が施工会社の責任によるときは、当該施工会社に対して求償権を行使することができる。 エ マンションの共用部分の修繕工事を請け負った施工会社が、その工事について第三者に損害を加えた場合に、注文者である当該マンションの管理組合は、注文又は指図について過失がない限り、損害を賠償する責任を負わない。
正解: 2. 二つ
ア(誤り)715条1項の使用者責任は被用者自身に709条の不法行為が成立していることが前提。イ(誤り)715条3項が求償権の行使を妨げないと明記。ウ(正しい)専有部分内設備の漏水は居住する区分所有者が709条・717条で責任、施工不良なら717条3項で施工会社へ求償できる。エ(正しい)716条本文・ただし書のとおり。正解は二つ(ウ・エ)。
次の記述のうち、判例によれば、適切なものはいくつあるか。 ア 区分所有者の団体のみが共用部分から生ずる利益を収取する旨を集会で決議し、又は規約で定めた場合には、各区分所有者は、その持分割合に相当する利益についての返還を請求することはできない。 イ 区分所有者の集会で複数の理事を選任し、理事長は理事会で理事の互選で選任する旨を規約で定めた場合には、理事の職は維持しつつ、理事長の職を解くことについて、理事会の決議で決することができる。 ウ 建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者を含む建物利用者、隣人、通行人等に対する関係でも、当該建物の建物としての基本的な安全性が欠けることのないように配慮すべき注意義務を負う。 エ 管理組合の業務を分担することが一般的に困難な不在組合員に対し一定の金銭負担を求めることは、規約の変更に必要性及び合理性があり、不在組合員の受ける不利益の程度を比較衡量して一定の金銭負担に相当性のある場合には、受忍限度を超えるとまではいうことはできない。
正解: 4. 四つ
ア〜エすべて正しい。エは受忍限度を必要性・合理性と不利益の比較衡量で判断する第7話の物差しそのもの。正解は四つ。
管理規約違反行為、使用細則違反行為又は義務違反行為に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約(単棟型)によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア 管理規約上ペットの飼育が禁止されているマンションにおいて、住戸の賃借人がペットを飼育している場合、理事長は、理事会の決議を経て、賃貸人である区分所有者に対して警告をすることはできるが、当該賃借人に対して警告をすることはできない。 イ 区分所有者が、専有部分の使用細則に違反して、常習的に深夜に大音量でピアノの演奏をしていることから、当該行為の差止めを求めて訴訟を提起する場合には、総会の決議を経る必要がある。 ウ 区分所有者が共用部分の破壊行為を繰り返すなどして他の区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、他の区分所有者の共同生活上の障害が著しいことから、訴えをもって当該区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求する旨の集会の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。 エ 区分所有者に対し、管理規約違反行為の差止めを求める訴訟を提起する場合は、理事長は当該区分所有者に対して違約金としての弁護士費用を請求することができる。
正解: 2. 二つ
ア(不適切)規約67条1項の相手は区分所有者等で賃借人にも直接警告できる。イ(不適切)規約67条3項により理事会決議で差止め訴訟を追行でき総会決議は不要。ウ(適切)58条3項。エ(適切)規約67条4項。正解は二つ(ア・イ)。
区分所有者による専有部分の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合に、裁判所が管理人による管理を命ずる制度として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 46条の8(管理不全専有部分管理命令)
46条の8は区分所有者による専有部分の管理が不適当な場合に管理不全専有部分管理人による管理を命ずることができる新設規定である。
専有部分の占有者等に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も適切なものはどれか。 1. 総会の議題が専有部分でのペットの飼育を禁止にする件であったため、同居しているペットの飼い主である甥を代理人として議決権を行使させた。 2. 管理費等相当額を家賃に含めて支払っている賃借人は、管理費等の値上げが総会の議題となっている場合でも、利害関係人として管理組合の会計帳簿の閲覧請求をすることができない。 3. 水漏れ事故により、他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあることから、理事長が調査をするために専有部分への立入りを請求しても、賃借人は、賃貸人である区分所有者の承諾がない限り当該専有部分への立入りを拒むことができる。 4. 区分所有者は、専有部分を第三者に賃貸する場合には、規約及び使用細則に定める事項を賃借人に遵守させる旨を誓約する書面を管理組合に提出しなければならない。
正解: 1. 1
1(正しい)規約46条5項二号「その組合員の住戸に同居する親族」に該当。2(誤り)賃借人は利害関係人にあたり閲覧請求できる。3(誤り)規約23条2項・4項により拒否できない。4(誤り)誓約書を提出するのは契約の相手方(賃借人)。
マンションにおける平穏な居住環境の維持を目的として、暴力団員への専有部分の貸与を禁止する場合等における次の記述のうち、区分所有法の規定、標準管理規約及び判例によれば、最も不適切なものはどれか。 1. 組合員が、その専有部分を賃貸する場合、契約の相手方が暴力団員でないこと及び契約後に暴力団員にならないことを確約することを、当該賃貸借契約に定めなければならない。 2. 組合員が、その専有部分を賃貸する場合、契約の相手方が暴力団員であることが判明したときには、管理組合は、相当の期間を定めた催告後、区分所有者に代理して解約権を行使することができることを、当該賃貸借契約に定めなければならない。 3. 組合員が所有する専有部分を暴力団組長に賃貸した場合、常時暴力団員が出入りするなど、居住者の日常生活に著しい障害を与えているときは、管理組合の管理者又は集会において指定された区分所有者は、区分所有法第60条に基づき、当該専有部分の占有者に弁明の機会を与え、当該賃貸借契約の解除及び専有部分の引渡しを請求することができる。 4. 暴力団員である者又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者は、管理組合の役員となることができない。
正解: 2. 2
1(適切)規約19条の2第1項一号。2(不適切=これが正解)「何らの催告を要せずして」解約できる旨を定めるとされ、「相当の期間を定めた催告後」は誤り。3(適切)60条1項・2項。4(適切)規約36条の2第三号。
マンションに関する次の記述のうち、最高裁判所の判決によれば、適切なものはいくつあるか。 ア 管理人室と管理事務室が一体として利用することが予定され両室を機能的に分離することができない場合には、管理人室には構造上の独立性があるとしても利用上の独立性はないというべきであるから、管理人室は、区分所有権の目的とはならない。 イ 各住戸(専有部分)からの専用排水管(枝管)は、その構造や設置場所いかんにかかわらず、専有部分に属しない建物の附属物であるから、同排水管に起因する水漏れ事故による損害の賠償は、管理組合がその責任を負う。 ウ 管理組合法人の規約において、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等内の親族に限り、これを代理出席させることができる旨を定めることは認められず、当該規約は無効である。 エ 管理者が共用部分の管理を行い、特定の区分所有者に当該共用部分を使用させることができる旨の規約の定めがある場合においても、各区分所有者は、当該特定の区分所有者に対し、共用部分の自己の持分割合相当額につき不当利得返還請求権を行使することができる。
正解: 1. 一つ
ア(正しい)機能的に分離できない管理人室は利用上の独立性を欠き区分所有権の目的とならない。イ(誤り=第7話の核心)枝管が共用部分にあたるかは構造及び設置場所に照らし判断する。ウ(誤り)代理出席を親族に限定する規約は有効。エ(誤り)規約の定めがある場合は不当利得返還請求権を行使できない。正解は一つ(アのみ)。
次の記述のうち、判例によれば、正しいものの組合せはどれか。 ア 甲マンションにおいて、これまでにペットの飼育に関する規約がなかった場合に、盲導犬等を除いて犬や猫などのペットの飼育を禁止する旨の規約を設定することは、その飼育による実害の発生又はその発生の蓋然性がないときでも許される。 イ 乙マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷等することによって管理組合の業務の遂行や運営に支障を生じさせた場合には、区分所有法に定める「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当する余地がある。 ウ 丙マンションの建物内の倉庫部分について、構造上及び利用上の独立性があっても、当該倉庫部分の一部に他の区分所有者のための共用設備が設置されている場合には、当該倉庫部分が専有部分となる余地はない。 エ 丁建物について、区分所有建物である旨の登記が可能であるにもかかわらず、区分所有建物ではない1棟の建物としての登記がなされた場合には、丁建物は「区分所有建物ではない建物」とみなされるので、その後、これにつき区分所有建物である旨の登記をすることはできない。
正解: 1. ア・イ
ア(正しい)実害・蓋然性がなくても規約設定は許される。イ(正しい)ひぼう中傷等も共同の利益に反する行為に該当する余地がある。ウ(誤り)共用設備の設置が僅かなら専有部分となる余地はある。エ(誤り)そのようなみなし規定はない。正解はア・イ。
次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 1. 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(以下、本問において「占有者」という。)は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができるが、この占有者に区分所有者の同居の親族は含まれない。 2. 会議の目的たる事項につき利害関係を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、各区分所有者へ招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。 3. 専有部分の占有者が、区分所有法第6条第1項に規定する建物の保存に有害な行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、当該専有部分の区分所有者以外の区分所有者の全員又は管理組合法人は、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。 4. 区分所有法第60条に基づく、占有者に対する引渡し請求をする場合には、当該占有者が占有する専有部分の貸主である区分所有者と借主である占有者の双方に、あらかじめ集会で弁明する機会を与えなければならない。
正解: 4. 4
1(正しい)44条1項。2(正しい)44条2項。3(正しい)57条4項の準用。4(誤り=これが正解)60条2項が準用する58条3項により、弁明の機会を与える相手は当該占有者のみ。
標準管理規約67条の4・67条の5の内容として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 理事長は、理事会の決議を経て、裁判所にこれらの管理命令を求める請求ができる。
規約67条の4・67条の5は理事長が理事会の決議を経て管理命令を裁判所に求める請求ができる旨を定める。
次の記述のうち、標準管理委託契約書によれば、最も不適切なものはどれか。 1. マンション管理業者は、地震の発生により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについて、管理組合の承認を受けないで実施した場合においては、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を管理組合に通知しなければならない。 2. 管理組合は、マンション管理業者が火災の発生により、緊急に行う必要がある業務を遂行する上でやむを得ず支出した費用であれば、その発生原因が当該マンション管理業者の責めによるものであったとしても、当該マンション管理業者に対して、その費用を速やかに支払わなければならない。 3. マンション管理業者は、漏水の発生により、管理組合のために緊急に行う必要がある場合、専有部分等に立ち入ることができるが、この場合において、マンション管理業者は、管理組合及びマンション管理業者が立ち入った専有部分等に係る組合員等に対し、事後速やかに、報告をしなければならない。 4. マンション管理業者は、マンション管理業者の責めによらない火災の発生により、管理組合又は管理組合の組合員等が損害を受けたときは、その損害を賠償する責任を負わない。
正解: 2. 2
1(正しい)9条1項。2(誤り=これが正解)9条2項ただし書「乙の責めによる事故等の場合はこの限りでない」。3(正しい)14条3項。4(正しい)19条。
前問の場面で、ペットを飼育しているのが区分所有者本人ではなく賃借人であった場合、理事長は賃借人本人に直接、注意・勧告をすることができない。
正解: 2. ×
規約67条1項の「区分所有者等」には賃借人(専有部分の貸与を受けた者)も含まれ、理事長は賃借人本人にも直接勧告等ができる。
共用の縦管の破損による漏水事故で、管理組合が施設賠償責任特約に基づき保険金を請求する場合、次のうち適切なものはどれか。
正解: 2. 理事長が区分所有者及び旧区分所有者を代理して保険金を請求・受領する。
標準管理規約24条の2第1項により、共用部分等について生じた保険金等の請求及び受領は理事長が区分所有者及び旧区分所有者を代理して行う。総会決議が必要になるのは同条2項の「訴訟等」の場合である。
マンションの分譲業者が、区分所有者に対して、建物の専有部分の区分所有権、共用部分の共有持分及び敷地の共有持分を分譲したが、一部の区分所有者に対しては、それらとともに敷地の駐車場の専用使用権を分譲した。この場合において専用使用権及び専用使用料に関する次の記述のうち、最高裁判所の判決によれば、適切なものの組合せはどれか。 ア 駐車場の専用使用権は、区分所有者全員の共有に属するマンション敷地の使用に関する事項ではなく、専用使用権を有する区分所有者のみに関する事項であるから、区分所有者全員の規約及び集会決議による団体的規制に服すべき事項ではない。 イ 規約の設定、変更等をもって、一部の区分所有者の権利を変更するときには、その承諾を得なければならないから、当該駐車場の専用使用権者の承諾を得ないで当該駐車場の使用料を増額することはできない。 ウ 規約の設定、変更等をもって、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときには、その承諾を得なければならないが、ここでの「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、一部の区分所有者の受ける不利益がその区分所有者の受忍限度を超えると認められる場合をいう。 エ 規約の設定、変更等をもって、増額された駐車場の使用料が、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は、当該駐車場の使用料の増額を受忍すべきである。
正解: 4. ウ・エ
ア(誤り)専用使用権も敷地の使用に関する事項であり団体的規制に服する。イ(誤り)承諾が要るのは特別の影響を及ぼすべきときに限られる。ウ(正しい)特別の影響=受忍限度を超える不利益。エ(正しい)必要性・合理性・社会通念上相当な額なら受忍すべき。正解はウ・エ。
管理者でない区分所有者Aが、単独で行使できる裁判上の請求に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、請求が認められないものの組み合わせはどれか。ただし、規約又は集会の決議による請求権者や請求方法についての定めはないものとする。 ア 区分所有者Bが、自らが所有する住戸の共用廊下側の窓を改造して出入口を作っていたところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、共用部分の共有持分権に基づく保存行為として、同改造部分の原状回復を請求すること イ マンション管理業者がずさんな管理を続けているところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、管理委託契約の準共有持分権に基づく保存行為として、当該管理業者との契約の解除を請求すること ウ 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるので、管理者の解任を請求すること エ 区分所有者Cが、自ら専有部分を暴力団事務所として利用し、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるため、当該専有部分の競売を請求すること
正解: 3. イ・エ
ア(認められる)共有持分権に基づく保存行為として単独で可能。イ(認められない)管理委託契約の解除は集会の決議が必要。ウ(認められる)25条2項。エ(認められない)59条1項の競売請求は集会の決議に基づく必要があり単独ではできない。正解はイ・エ。
502号室の天井から漏水があったが、現地調査でも602号室内・共用縦管のいずれが原因か特定できなかった。この場合の取り扱いとして最も適切なものはどれか。
正解: 2. 区分所有法9条により、その瑕疵は共用部分の設置又は保存にあるものと推定される。
区分所有法9条は原因不明のとき瑕疵を共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。原因不明のときはまず管理組合側から責任を負う形になる。
602号室を賃借している賃借人の不注意(浴槽の水を出しっぱなしにした等)により漏水し、下階に損害が生じた。責任について最も適切なものはどれか。
正解: 2. 賃借人が民法709条に基づき損害賠償責任を負いうる。
漏水の直接の原因を作ったのが賃借人(占有者)である場合、賃借人自身が民法709条の不法行為責任を負いうる。所有者への使用者責任等は別途の事情が必要。
漏水事故における保険の扱いについて、次のうち最も適切なものはどれか。
正解: 2. 共用部分が原因の漏水は、管理組合が締結する施設賠償責任特約等で対応するのが実務の型である。
共用部分が原因の漏水は組合が締結する施設賠償責任特約等で対応するのが実務の型。専有部分原因は個人賠償責任保険。保険名称は法令用語ではなく、根拠は規約24条・24条の2のみ。
区分所有法6条3項の内容として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 6条1項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者にも準用される。
6条3項は1項・2項の規定を区分所有者以外の専有部分の占有者について準用すると定める。
実務上、迷惑行為への対応で記録(日時・内容・写真・申出人)を残すことが重要とされる理由として、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 記録がなければ理事会・総会が事実に基づいて判断・決議できないため。
57〜60条の措置はいずれも集会の決議を要し、決議には事実の裏付けが必要である。記録がなければ組合は何も決められない。
管理不全専有部分管理人の権限について、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 管理人は、集会において議決権を行使することができない。
46条の9第2項は管理人が集会で議決権を行使できないと定め、4項で処分の許可には区分所有者の同意が必要と定める。
標準管理委託契約書12条1項の「有害行為の中止要求」の内容として、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 管理業者は、組合に代わって、法令・規約・使用細則・総会決議等に違反する行為等の中止を求めることができる。
12条1項は組合に代わって違反行為等の中止を求めることができると定める。2項で結果を速やかに組合へ報告する義務がある。
「602号室から漏水があり、原因は602号室内の洗濯機ホースの外れであった。502号室が被害を受けた。」この場面で、502号室の区分所有者が損害賠償を請求できる相手として、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 602号室の区分所有者に対して民法709条に基づき請求する。
専有部分内の設備が原因である以上、602号室の区分所有者が民法709条(又は717条)に基づき責任を負う。
602号室の洗濯機の給水ホースが外れて漏水し、下の502号室の天井・壁紙が損傷した。この場合の損害賠償責任について、次のうち最も適切なものはどれか。
正解: 2. 602号室の区分所有者が民法709条に基づき損害賠償責任を負う。
洗濯機ホースは専有部分内の設備であり、その管理を怠ったことによる漏水は、そこに居住する602号室の区分所有者が民法709条に基づき責任を負う。管理組合が負うのは共用部分が原因の場合(717条)であり、管理会社は当事者ではない。
専有部分内の給湯器の設置・保存に瑕疵があり漏水が生じ、階下に損害が生じた。この専有部分に居住する区分所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、一切の責任を負わない。
正解: 2. ×
給湯器は専有部分内の「工作物」にあたり、民法717条1項では占有者が必要な注意をしていたときは免責され、その場合は所有者が無過失責任を負う。専有部分では占有者と所有者が同一人であることが多く、結局その区分所有者が責任を免れないことが多い。「一切の責任を負わない」と言い切る点が誤り。
浴室のシャワーホースの劣化による漏水は、専有部分内の設備が原因なので、管理組合のマンション総合保険(共用部分)ではなく、当該区分所有者の個人賠償責任保険で対応するのが実務の型である。
正解: 1. ○
専有部分内の設備が原因の漏水は当該区分所有者が709条(又は717条)の責任を負う場面であり、実務では区分所有者の個人賠償責任保険で対応するのが型である。
パイプスペース内を縦に通る共用の排水本管が破損して漏水し、複数戸に被害が生じた。この場合の損害賠償責任について、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 共用部分の所有者である区分所有者全員(=管理組合)が責任を負いうる。
共用の縦管は共用部分であり、その瑕疵による損害は民法717条により、まず占有者、占有者に過失がなければ所有者(=区分所有者全員)が無過失責任を負う。実務では組合が施設賠償責任特約で対応する。
共用の縦管からの漏水で被害を受けた区分所有者は、原因が共用部分にあると判明した場合、専用使用権者ではなく管理組合に対して損害賠償を請求すべきである。
正解: 1. ○
共用部分の瑕疵による損害は共用部分の所有者である区分所有者全員(実質的には管理組合)が責任主体となる。専用使用権は使用の権利であり、共用部分自体の責任を専用使用権者に転嫁するものではない。
区分所有法9条の推定規定は、共用部分に原因があることが後に判明した場合には反証によって覆すことができない絶対的なものである。
正解: 2. ×
9条は「推定する」規定であり、反証によって覆すことができる。絶対的な擬制ではない。
民法717条の工作物責任の構造について、次のうち最も適切なものはどれか。
正解: 2. 占有者が必要な注意をしていたときは占有者は免責され、所有者が過失の有無を問わず責任を負う。
717条1項は、まず占有者が責任を負うが、占有者が必要な注意をしていたときは免責され、所有者が無過失責任を負う。
工作物の占有者は、必要な注意をしていたことを証明できれば免責されるが、所有者は同様の証明をしても免責されない。
正解: 1. ○
717条1項但書は占有者について免責事由を定めるが、所有者にはこの免責事由がなく無過失責任を負う。
賃借人の過失による漏水事故について、賃貸人である区分所有者は、賃貸借契約の当事者であることのみを理由に、被害者に対して当然に使用者責任(民法715条)を負う。
正解: 2. ×
使用者責任は指揮監督関係が前提であり、単なる賃貸人・賃借人の関係だけでは生じない。
標準管理規約24条は、区分所有者が、共用部分等について管理組合が損害保険契約を締結することを承認する旨を定めている。
正解: 1. ○
規約24条は共用部分等について管理組合が損害保険契約を締結することを区分所有者が承認する旨を定める。
区分所有法6条1項が禁止する行為として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 建物の保存に有害な行為のほか、建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為も含まれる。
6条1項は建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない、と定める。
区分所有法6条1項の「共同の利益に反する行為」に該当するかどうかは、専ら物理的な被害の有無のみによって判断され、精神的・運営上の支障は考慮されない。
正解: 2. ×
判例では役員へのひぼう中傷等により組合運営に支障を生じさせる行為も該当する余地があるとされており、物理的被害に限られない。
賃借人(占有者)が共同の利益に反する行為をした場合には、区分所有法57条から60条までの措置の対象にはならない。
正解: 2. ×
6条3項により占有者にも1項が準用され、57条4項・60条等により占有者を相手方とする措置が用意されている。
判例上、区分所有法6条1項の「共同の利益に反する行為」に該当する余地があるとされたものとして、最も適切な組み合わせはどれか。
正解: 2. 専有部分を暴力団事務所として使用すること/役員に対するひぼう中傷等により組合の運営に支障を生じさせること
専有部分の暴力団事務所としての使用や役員へのひぼう中傷等は共同の利益に反する行為に該当する余地がある。ペット禁止規約の設定や相当な使用料増額は受忍すべきものとされ、該当例ではない。
常習的に深夜に大音量で騒音を発生させる行為は、区分所有法6条1項の「共同の利益に反する行為」に該当し得る。
正解: 1. ○
使用細則等に違反する常習的な騒音行為は共同の利益に反する行為に該当し得る(令和5年度問37参照)。
ペットの飼育を一律に禁止する規約を新たに設定することは、実害の発生やその発生の蓋然性がなければ認められない。
正解: 2. ×
判例では実害の発生又はその蓋然性がなくてもペット飼育禁止規約の設定は許されるとされている(平成27年度問39参照)。
マンションの騒音問題における「受忍限度」の考え方について、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 必要性及び合理性と、これによって受ける不利益とを比較衡量し、社会通念上受忍すべき限度を超えるかで判断する。
受忍限度論は必要性・合理性と不利益とを比較衡量し、不利益が受忍すべき限度を超えるかで判断する判例の考え方であり、明確な数値基準はない。
民法209条以下の相隣関係の規定は、隣地の使用について、必要な範囲内で使用でき、住家については居住者の承諾が必要である旨などを定めている。
正解: 1. ○
民法209条は隣地使用について必要な範囲内での使用、住家への立入りには居住者の承諾が必要である旨等を定める。
区分所有法57条に基づく行為の停止等の請求を訴訟によって行う場合の決議要件として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 出席した区分所有者及びその議決権の各過半数による普通決議
57条2項は集会の決議によるとするが要件を加重する規定がないため、39条1項の普通決議(出席者の各過半数)による。
区分所有法57条に基づく行為の停止等の請求訴訟を提起するにあたり、あらかじめ当該区分所有者に弁明する機会を与えなければならない。
正解: 2. ×
57条には弁明の機会の規定がない。弁明の機会が要るのは58条以降である。
区分所有法57条3項の規定として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 管理者又は集会で指定された区分所有者が、区分所有者全員のために訴訟を提起できる。
57条3項は管理者又は集会で指定された区分所有者が区分所有者全員のために訴訟を提起できると定め、4項で占有者を相手とする場合にも準用される。
区分所有法58条(専有部分の使用禁止請求)の決議要件について、2026年4月1日施行の改正後の規定として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 区分所有者の過半数であって議決権の過半数を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上
2026年4月改正で58条2項は出席者ベース+定足数の要件に変わった。改正前は総数ベースの各4分の3であった。
区分所有法58条に基づき専有部分の使用禁止を決議する場合、あらかじめ当該区分所有者に弁明する機会を与えなければならない。
正解: 1. ○
58条3項が弁明の機会を与えなければならない旨を定める。
区分所有法58条1項の使用禁止請求ができるのはどのような場合か、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 6条1項に規定する行為による共同生活上の障害が著しく、57条1項の請求では共同生活の維持を図ることが困難なとき
58条1項は6条1項の行為による共同生活上の障害が著しく57条1項の請求では困難なときに使用禁止を請求できると定める。
区分所有法59条の競売請求について、決議要件・弁明の機会の扱いとして、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 58条2項・3項が準用され、決議要件・弁明の機会は58条と同一である。
59条2項は58条2項・3項を準用しており、決議要件・弁明の機会は58条と同一である。
区分所有法59条に基づく競売の申立ては、判決が確定した日から6か月を経過したときはすることができない。
正解: 1. ○
59条3項が定める期間制限である。
区分所有法59条4項の内容として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。
59条4項は競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算で買い受けようとする者は買受けの申出をすることができないと定める。
区分所有法60条に基づく占有者に対する引渡し請求において、あらかじめ弁明の機会を与えるべき相手として、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 当該専有部分の占有者のみ
60条2項が準用する58条3項により、弁明の機会を与える相手は当該占有者のみである。
区分所有法60条に基づく引渡し請求の効果として、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 契約の解除及び専有部分の引渡し請求ができる。
60条1項は契約の解除及び専有部分の引渡しを請求できると定める。所有権自体を失わせるのは59条(競売請求)である。
区分所有法60条3項の内容として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 引渡しを受けた者は、遅滞なく、占有権原を有する者(区分所有者等)に引き渡さなければならない。
60条3項は引渡しを受けた者は遅滞なく占有権原を有する者にこれを引き渡さなければならないと定める。
迷惑行為への対応は、必ず57条→58条→59条→60条の順に段階を経なければならず、各条の要件を満たしていても段を飛ばして58条や59条を直接使うことはできない。
正解: 2. ×
各条の要件はそれぞれ独立しており、法律上は要件を満たせば段を飛ばすこと自体は可能。ただし実務上は段階的に証拠を積み上げるのが通例。
使用細則に違反する行為の差止めを求める訴訟を提起する場合、標準管理規約によれば必要な決議として、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 理事会の決議のみで、理事長が管理組合を代表して訴訟を追行できる。
標準管理規約67条3項により、規約・使用細則等の違反行為について理事長は理事会の決議を経て訴訟を追行できる。総会決議が必要なのは区分所有法57条2項の訴え(規約48条十一号)。
区分所有法57条2項に基づく行為の停止等の請求訴訟を提起する場合、標準管理規約上どの機関の決議事項とされているか、最も適切なものはどれか。
正解: 2. 総会(集会)の決議事項(規約48条十一号)
標準管理規約48条十一号は区分所有法57条2項の訴えの提起を総会の議決事項として掲げている。
次の記述のうち、誤っているものはどれか。
正解: 1. 57条の訴訟提起にも、あらかじめ弁明の機会を与えなければならない。
57条には弁明の機会の規定がない。弁明の機会が要るのは58条以降である。
次の記述のうち、誤っているものはどれか。
正解: 1. 59条の競売請求の決議は、区分所有者及び議決権の各過半数(出席者ベースの普通決議)で足りる。
59条は58条2項を準用するため決議要件は出席者ベースの各4分の3であり、普通決議で足りるとするのは誤り。
区分所有者の所在を知ることができない専有部分について、裁判所が管理人による管理を命ずる処分をする制度として、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 区分所有法46条の2(所有者不明専有部分管理命令)
46条の2は区分所有者の所在を知ることができない専有部分について所有者不明専有部分管理人による管理を命ずる処分ができると定める。6条4項により民法264条の8等は区分所有法の専有部分・共用部分には適用されない。
管理不全専有部分管理人が、保存行為及び性質を変えない範囲の利用・改良行為を超える行為をするには、裁判所の許可を要する。
正解: 1. ○
46条の9第3項の内容である。
標準管理委託契約書9条1項に定める緊急時の業務の事由として、最も適切な組み合わせはどれか。
正解: 1. 地震・台風等の自然災害(1号)/火災・漏水・破裂等の事故(2号)
9条1項は一号で自然災害、二号で火災・漏水・破裂等の事故を緊急時の業務の事由として定める。
マンション管理業者が、漏水の発生により、管理組合の承認を受ける時間的余裕がなく専有部分等に立ち入った場合、標準管理委託契約書14条3項によれば、次のうち最も適切なものはどれか。
正解: 2. 組合及び立ち入った専有部分等に係る組合員等に対し、事後速やかに報告しなければならない。
14条3項は緊急事由により立ち入る場合、組合及び当該組合員等に事後速やかに報告しなければならないと定める。
マンション管理業者の責めによる火災の発生により、管理組合が損害を受けた場合、標準管理委託契約書19条により管理業者は免責される。
正解: 2. ×
19条の免責は管理業者の責めによらない場合に限られ、管理業者の責めによる事故の場合は免責されない。
迷惑行為・事故対応の実務において記録すべき事項として、最も適切な組み合わせはどれか。
正解: 1. 日時・内容・続いた時間・写真・申し出た人の氏名
騒音・ペット等のトラブルでは日時・内容・続いた時間・写真・申出人の氏名を記録として積み上げることが実務の要である。
前問の場面で、602号室の区分所有者が損害を賠償した後、漏水の原因がホースの製造上の欠陥(施工会社の責任)にあったことが判明した場合、次のうち最も適切なものはどれか。
正解: 2. 602号室の区分所有者は民法717条3項により施工会社に対して求償権を行使できる。
717条3項は損害の原因について責任を負う者があるとき求償権の行使を妨げないと定める。
「ペット飼育禁止の規約に違反する住人がいる。組合が取り得る手段を軽い順に並べたとき、最も適切なものはどれか。」
正解: 2. 掲示 → 管理会社による注意 → 理事会決議による勧告 → 総会特別決議による訴訟(使用禁止・引渡し等)
実務の型は掲示→管理会社の注意→理事会決議による勧告→総会特別決議による訴訟という順で段階を踏む。
「暴力団員が専有部分を賃借して居住しており、常時暴力団員が出入りするなど居住者の日常生活に著しい障害を与えている。」区分所有法60条に基づく引渡し請求の要件として、最も適切なものはどれか。
正解: 1. 管理者又は集会で指定された区分所有者が、決議に基づき、当該占有者に弁明の機会を与えたうえで、契約解除・引渡しを請求する。
60条は58条2項・3項を準用し、決議に基づき当該占有者に弁明の機会を与えたうえで契約解除・引渡しを請求する。
前問の場面で、賃貸借契約の相手方が契約後に暴力団員であることが判明した場合、標準管理規約19条の2によれば、区分所有者は相当の期間を定めた催告を経なければ契約を解約できない。
正解: 2. ×
規約19条の2第1項二号は「何らの催告を要せずして」区分所有者は契約を解約することができる旨を定めるとしており、催告は不要である。
以下のア〜ウの記述は、最高裁判所の判決又は決定の一部に若干の修正をしたものであるが、(a)〜(c)に入る用語の組み合わせとして、正しいものはどれか。 ア 区分所有法第59条第1項の競売の請求は、特定の区分所有者が、(a)に反する行為をし、又はその行為をするおそれがあることを原因として認められるものである。 イ 区分所有法第31条第1項の「(b)を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうものと解される。 ウ 本件専有部分にある排水管は、その構造及び設置場所に照らし、専有部分に属しない(c)に当たり、かつ、区分所有者全員の共用部分に当たると解するのが相当である。
正解: 2. 区分所有者の共同の利益/特別の影響/建物の附属物
a=区分所有者の共同の利益。b=特別の影響(31条1項後段)。c=建物の附属物(枝管の判例)。
次の記述のうち、判例によれば、適切なものはいくつあるか。ア区分所有者の団体のみが共用部分から生ずる利益を収取する旨を集会で決議し、又は規約で定めた場合には、各区分所有者は、その持分割合に相当する利益についての返還を請求することはできない。イ区分所有者の集会で複数の理事を選任し、理事長は理事会で理事の互選で選任する旨を規約で定めた場合には、理事の職は維持しつつ、理事長の職を解くことについて、理事会の決議で決することができる。ウ建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者を含む建物利用者、隣人、通行人等に対する関係でも、当該建物の建物としての基本的な安全性が欠けることのないように配慮すべき注意義務を負う。エ管理組合の業務を分担することが一般的に困難な不在組合員に対し一定の金銭負担を求めることは、規約の変更に必要性及び合理性があり、不在組合員の受ける不利益の程度を比較衡量して一定の金銭負担に相当性のある場合には、受忍限度を超えるとまではいうことはできない。
正解: 4. 四つ
ア区分所有者団体のみが共用部分の収益を収取する旨を集会決議・規約で定めた場合、各区分所有者は持分割合に応じた利益の返還を請求できないとするのが判例の考え方。イ理事の互選で理事長を選任する規約のもとでは、理事の地位を維持したまま理事長の職のみを理事会決議で解くことができるとするのが判例。ウ設計者・施工者・工事監理者は契約関係にない居住者等に対しても建物の基本的な安全性を欠かないよう配慮すべき注意義務を負うとするのが判例。エ不在組合員への金銭負担を求める規約変更は、必要性・合理性と不利益との比較衡量により相当性があれば受忍限度を超えないとするのが判例。いずれも判例の趣旨に沿う記述で、適切なものは四つ(正解)。
補足: 個別判例の事件番号・年月日は一次情報で確認できておらず、判旨の要旨のみに基づく説明である。エの規約変更(31条)の決議要件は2026年4月1日施行の改正で総数ベースから出席者ベース(定足数+出席者の各4分の3以上)に変わっているが、本問は判例の判断枠組み(必要性・合理性・受忍限度)自体を問うもので、決議要件の母数は論点ではない。
次の記述のうち、地震保険に関する法律によれば、適切なものの組合せはどれか。ア地震保険契約は、居住の用に供する建物又は生活用動産のみを保険の目的とする。イ地震保険契約は、特定の損害保険契約に附帯して締結する必要がある。ウ地震保険契約は、地震による津波を間接の原因とする流失による損害は、てん補の対象としない。エ地震保険契約では、保険の対象である居住用建物が全損になったときに保険金が支払われ、一部損では保険金は支払われない。
正解: 1. ア・イ
地震保険に関する法律2条2項により、地震保険契約は居住用建物又は生活用動産のみを保険の目的とし(ア)、特定の損害保険契約に付帯して締結する必要がある(イ)。地震・噴火又はこれらによる津波を「直接又は間接の原因」とする流失等の損害はてん補の対象に含まれ、「間接の原因は対象としない」とする記述(ウ)は誤り。地震保険は全損だけでなく大半損・小半損・一部損の区分に応じて保険金が支払われ、「一部損では支払われない」(エ)も誤り。適切な組合せはア・イで選択肢1が正解。
マンションにおける不法行為責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、適切なものはいくつあるか。アマンション管理業者は、自らが雇用する管理員が、その業務の執行について第三者に損害を加えたときは、当該管理員個人に不法行為が成立しなくても、使用者責任を負う場合がある。イマンション管理業者は、自らが雇用する管理員が、その業務の執行について第三者に損害を加えた場合、使用者責任に基づいて当該第三者に対してその賠償をしたときでも、当該管理員に対して求償権を行使することは認められない。ウマンションの専有部分にある浴室から水漏れが発生し、階下の区分所有者に損害が生じた場合、当該専有部分に居住する区分所有者は、その損害を賠償する責任を負うが、水漏れの原因が施工会社の責任によるときは、当該施工会社に対して求償権を行使することができる。エマンションの共用部分の修繕工事を請け負った施工会社が、その工事について第三者に損害を加えた場合に、注文者である当該マンションの管理組合は、注文又は指図について過失がない限り、損害を賠償する責任を負わない。
正解: 2. 二つ
使用者責任(民法715条)は求償権行使(同条3項)を否定しないためイは誤り、注文者は指図等に過失がない限り原則免責(716条)なのでエは正しい。ア・ウについては学説・当てはめに争いが残る部分があり、正解は2つ(ア・エ又はア・ウの組合せ)とされている。
補足: ア(使用者責任は被用者個人に不法行為の全要件が備わらなくても成立し得るか)及びウ(施工会社への求償の可否)の当てはめは一次資料で確証を得られておらず、確信度は低い。
管理規約違反行為、使用細則違反行為又は義務違反行為に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約(単棟型)によれば、不適切なものはいくつあるか。ア管理規約上ペットの飼育が禁止されているマンションにおいて、住戸の賃借人がペットを飼育している場合、理事長は、理事会の決議を経て、賃貸人である区分所有者に対して警告をすることはできるが、当該賃借人に対して警告をすることはできない。イ区分所有者が、専有部分の使用細則に違反して、常習的に深夜に大音量でピアノの演奏をしていることから、当該行為の差止めを求めて訴訟を提起する場合には、総会の決議を経る必要がある。ウ区分所有者が共用部分の破壊行為を繰り返すなどして他の区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、他の区分所有者の共同生活上の障害が著しいことから、訴えをもって当該区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求する旨の集会の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。エ区分所有者に対し、管理規約違反行為の差止めを求める訴訟を提起する場合は、理事長は当該区分所有者に対して違約金としての弁護士費用を請求することができる。
正解: 2. 二つ
占有者(賃借人)も規約を遵守する義務を負うため、理事長は理事会決議を経て賃借人本人に対しても警告等の措置をとることができる(ア不適切)。標準管理規約上、使用細則違反行為の差止め訴訟の提起は区分所有法57条2項による場合と異なり、標準管理規約67条3項に基づき理事会の決議で足り、総会決議までは要しない(イ不適切)。専有部分の使用禁止請求の訴えの提起にはあらかじめ弁明の機会を与える必要がある(ウ適切)。規約違反行為の差止め訴訟提起にあたり違約金としての弁護士費用を請求できる(エ適切)。
区分所有者が、その所有する住戸を賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、不適切なものの組合せはどれか。ア賃貸借契約において、管理費の支払は賃借人が行う旨の合意があった場合でも、賃貸人である区分所有者が管理費の支払義務を負う。イ賃借人は、建物の使用方法に関して、区分所有者が集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うものではない。ウ賃借人は、住戸の設置又は保存に瑕疵があることによって、他人に損害が発生した場合には、その賃借人の免責事由の有無にかかわらず、損害賠償責任を負う。
正解: 3. イ・ウ
正解は3(イ・ウが不適切)。区分所有法46条2項により、占有者(賃借人)は区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うため、イの「同一の義務を負うものではない」は誤り。民法717条の工作物責任では、占有者は損害発生防止に必要な注意をした場合(免責事由)は責任を免れ、その場合は所有者が無過失責任を負う仕組みであるため、ウの「免責事由の有無にかかわらず賃借人が責任を負う」は誤り。アは、管理費支払義務が区分所有者に帰属し、賃借人との内部合意を管理組合に対抗できない旨であり正しい。
マンションに関する次の記述のうち、最高裁判所の判決によれば、適切なものはいくつあるか。ア管理人室と管理事務室が一体として利用することが予定され両室を機能的に分離することができない場合には、管理人室には構造上の独立性があるとしても利用上の独立性はないというべきであるから、管理人室は、区分所有権の目的とはならない。イ各住戸(専有部分)からの専用排水管(枝管)は、その構造や設置場所いかんにかかわらず、専有部分に属しない建物の附属物であるから、同排水管に起因する水漏れ事故による損害の賠償は、管理組合がその責任を負う。ウ管理組合法人の規約において、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等内の親族に限り、これを代理出席させることができる旨を定めることは認められず、当該規約は無効である。エ管理者が共用部分の管理を行い、特定の区分所有者に当該共用部分を使用させることができる旨の規約の定めがある場合においても、各区分所有者は、当該特定の区分所有者に対し、共用部分の自己の持分割合相当額につき不当利得返還請求権を行使することができる。
正解: 1. 一つ
正解は1(適切なものは一つ=ア)。管理人室が管理事務室と一体として利用され機能的に分離できない場合、構造上の独立性があっても利用上の独立性を欠くため区分所有権の目的とならないというアの記述は、区分所有権の目的となるための構造上・利用上の独立性という一般的な考え方に沿うと考えられる。イ(専用排水管に起因する水漏れは常に管理組合が責任を負う)、ウ(理事の配偶者・一親等親族に限った理事会代理出席を定める規約は無効)、エ(共用部分を使用する特定の区分所有者に対し各区分所有者が個別に不当利得返還請求権を行使できる)は、いずれも実際の裁判例の考え方とは異なる(専用排水管の共用部分該当性は構造・設置場所により個別判断される、理事会代理出席規定は有効とされ得る、不当利得返還請求権は個々の区分所有者ではなく管理組合に帰属するなど)と考えられる。
補足: 本問は最高裁判例の内容を問う設問であり、各判例の詳細(事件番号・判示内容)を一次情報(裁判所ウェブサイト等)で個別に確認できていないため、確信度は高くない。