← 講座一覧 管業 実務から学ぶ12話 0 / 13 完了
第8話

持ち主が変わる

22分19秒

この話の舞台

402号室の売却と滞納の承継、空室1戸の相続、105号室の賃借人

ひだまり船橋マンション(分譲マンション)|船橋市、駅徒歩12分|築45年(旧耐震)・RC造6階建て・24戸

舞台設定の全体を見る →

到達目標と条件

目標1部屋が売られたとき、前の持ち主の滞納を買主に請求できる根拠(特定承継人・区分所有法8条)と、請求までの手順を言える。
順番やること条文
1 重説依頼宅建業者が重要事項調査報告書を請求標準委託契約書15条
2 報告書発行管理業者が発行、手数料は宅建業者負担15条2項
3 売買成立買主が特定承継人になる区分所有法8条
4 変更届出買主が区分所有者変更届を直ちに提出規約31条
5 未届の場合登記で確認して買主へ請求
承継の範囲競売の買受人も特定承継人に含む判例・通説

ひっかけ: 「知らずに買えば払わなくてよい」は誤り。善意・悪意問わない

くわしく(8項目)
  • 買主(特定承継人)は、前の持ち主の滞納管理費の支払義務を承継する。
  • 根拠は区分所有法7条(先取特権=部屋そのものに担保)と8条(特定承継人にも請求できる)。
  • 買主が滞納の存在を知らなくても(善意・悪意を問わず)支払義務を負う。
  • 買主が払っても前の持ち主の債務は消えない。組合は両方に請求でき、買主は前の持ち主に求償できる。
  • 競売の買受人も特定承継人にあたる(条文に明文はなく判例・通説)。
  • 手順: 宅建業者からの依頼→重要事項調査報告書(標準管理委託契約書第15条、別表第5)を発行→売買成立→区分所有者変更届(規約31条直ちに書面)→未届なら登記で確認→買主へ請求。
  • 調査報告書の作成手数料は開示を受ける相手方(宅建業者)から受け取れる(15条2項)。
  • ひっかけ: 「競売なら承継しない」「知らずに買えば払わなくてよい」はいずれも誤り。
目標2持ち主が亡くなったとき、誰が相続人になり、どの割合で管理費を負うのか、相続放棄されたら組合は何をするのかを言える。
場面内容条文
相続人順位配偶者は常に、子→尊属→兄弟姉妹の順
法定相続分配偶者と子は各2分の1など
死亡までの滞納法定相続分で分割請求
相続放棄3か月以内に家庭裁判所へ申述民法915条
放棄と代襲放棄は代襲原因ではない
全員放棄組合が相続財産の清算人選任を申立て民法952条
共有時の議決権持分価格の過半数で1人定める区分所有法40条

ひっかけ: 相続放棄の熟慮期間は3か月。「10か月」は誤り

くわしく(8項目)
  • 相続人の順位: 配偶者は常に相続人。第1順位、第2順位=直系尊属、第3順位=兄弟姉妹(上位者がいれば下位は相続人にならない)。
  • 法定相続分: 配偶者と子=各2分の1/配偶者と直系尊属=配偶者3分の2・直系尊属3分の1/配偶者と兄弟姉妹=配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1。同順位が複数なら頭割り。
  • 死亡日までの滞納は法定相続分に応じて分割請求。死亡後に発生する管理費は共有する相続人全員に請求(「連帯債務」と断定はしない)。
  • 相続放棄: 熟慮期間3か月(自己のために相続の開始があったことを知った時から起算)、家庭裁判所に申述(915条938条939条)。利害関係人の請求で伸長可。
  • 相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとみなされる。放棄は代襲原因ではない(欠格・廃除・死亡のみが代襲原因)。
  • 相続人全員が放棄したら、管理組合は利害関係人として家庭裁判所に相続財産の清算人の選任を申し立てる(民法952条)。清算人が部屋を換価して滞納を清算。
  • 専有部分が共有になったら、共有者は持分の価格の過半数で議決権行使者を一人定める(区分所有法40条、2026年4月改正で決め方が明記)。
  • ひっかけ: 「遺産分割で相続人が決まるまで請求できない」「10か月以内に放棄」はいずれも誤り。
目標3賃借人(占有者)に管理規約が及ぶ範囲と、賃貸借の基本を言える。
論点内容条文
占有者の義務区分所有者と同一の義務を負う6条3項・46条2項
規約の効力占有者にも及ぶ、知不知は問わない46条1項
集会での扱い意見陳述はできるが議決権なし44条1項
賃貸時の届出誓約書借用の届出を提出規約19条2項・3項
敷金明渡し時に清算、通常損耗は不要民法622条の2
更新拒絶通知期間満了の1年〜6か月前まで借地借家法26条

ひっかけ: 占有者は議決権を持たない。「議決権あり」は誤り

くわしく(8項目)
  • 占有者は建物の管理・使用に関し、区分所有者と同一の義務を負う(6条3項の準用、46条2項)。
  • 規約・集会決議は特定承継人・占有者にも効力が及ぶ(46条1項・2項)。内容を知っていたかは問わない。
  • 占有者は利害関係があれば集会に出席して意見を述べることができる(44条1項)が、議決権は持たない
  • 44条2項の掲示事項に、2026年4月改正で議案の要領が追加された。
  • 賃貸に出す区分所有者は、借主から規約遵守の誓約書(規約19条2項)と借用した旨の届出19条3項)を提出させる。
  • 賃貸借の基本: 賃貸人の修繕義務(民法606条、賃借人の帰責事由は除く)、無断転貸の禁止(612条、違反は解除事由)、敷金は返還・明渡し時に清算(622条の2)、通常損耗は原状回復義務なし(621条)。
  • 借地借家法: 更新拒絶の通知は期間満了の1年前から6か月前まで26条)、正当の事由が必要(28条)。
  • ひっかけ: 「賃借人は使用方法の義務を負わない」「規約は借主に効かない」「敷金は契約時に即返還」はいずれも誤り。

覚える数字と条文

数字・条文内容
滞納が買主に付いて回るのは区分所有法8条(特定承継人)
相続放棄の熟慮期間は3か月(民法915条、知った時から起算)
配偶者と子の法定相続分は2分の1ずつ
普通建物賃貸借の更新拒絶通知は1年前から6か月前まで(借地借家法26条)
相続人不存在なら相続財産の清算人の選任(民法952条)
共有専有部分の議決権行使者は持分価格の過半数で1名(区分所有法40条、2026年4月改正)

実務の流れ

1
手順1
宅建業者から重要事項調査報告書の依頼が届く(標準管理委託契約書15条)
2
手順2
別表第5に基づき滞納額・遅延損害金の有無等を開示する
3
手順3
売買成立→区分所有者変更届(規約31条、直ちに書面)
4
手順4
届出が遅れたら登記事項証明書で所有者を確認し、買主に請求(区分所有法8条)
5
手順5
住人の死亡連絡→相続人の確認(管理組合は債権者として弁護士等を通じてたどる)
6
手順6
死亡日までの滞納は法定相続分で分割請求、死亡後の管理費は共有相続人全員に請求
7
手順7
相続人全員が放棄したら家庭裁判所に相続財産の清算人の選任を申し立てる
8
手順8
賃貸に出す場合、規約遵守の誓約書と借用した旨の届出を借主から提出させる
9
手順9
賃借人は総会に出席・意見陳述できるが議決権はない

ひっかけ一覧

  • 競売の買受人は滞納管理費を承継しない → 誤り。買受人も特定承継人にあたり承継する。
  • 買主が滞納を知らなければ支払義務を負わない → 誤り。8条は善意・悪意を問わない。
  • 遺産分割で相続人が決まるまで組合は請求できない → 誤り。可分債務として当然に分割承継される。
  • 相続放棄の熟慮期間は10か月 → 誤り。正しくは3か月(915条)。
  • 相続放棄は代襲原因である → 誤り。代襲原因は死亡・欠格・廃除のみ。
  • 占有者(賃借人)は建物の使用方法について区分所有者と同一の義務を負わない → 誤り。46条2項により同一の義務を負う。
  • 占有者は総会で議決権を持つ → 誤り。意見陳述はできるが議決権はない。
  • 共有者は届出をしなければ持分割合で議決権を行使できる → 誤り。40条により1名を定める必要がある。
  • 期間の定めのない賃貸借は自動的に1年契約とみなされる → 誤り。そのような規定はない。

到達目標(教科書)

目標1部屋が売られたとき、前の持ち主の滞納を買主に請求できる根拠(特定承継人・区分所有法8条)と、請求までの手順を言える。

順番やること条文
1 重説依頼宅建業者が重要事項調査報告書を請求標準委託契約書15条
2 報告書発行管理業者が発行、手数料は宅建業者負担15条2項
3 売買成立買主が特定承継人になる区分所有法8条
4 変更届出買主が区分所有者変更届を直ちに提出規約31条
5 未届の場合登記で確認して買主へ請求
承継の範囲競売の買受人も特定承継人に含む判例・通説

ひっかけ: 「知らずに買えば払わなくてよい」は誤り。善意・悪意問わない

  • 買主(特定承継人)は、前の持ち主の滞納管理費の支払義務を承継する。
  • 根拠は区分所有法7条(先取特権=部屋そのものに担保)と8条(特定承継人にも請求できる)。
  • 買主が滞納の存在を知らなくても(善意・悪意を問わず)支払義務を負う。
  • 買主が払っても前の持ち主の債務は消えない。組合は両方に請求でき、買主は前の持ち主に求償できる。
  • 競売の買受人も特定承継人にあたる(条文に明文はなく判例・通説)。
  • 手順: 宅建業者からの依頼→重要事項調査報告書(標準管理委託契約書第15条、別表第5)を発行→売買成立→区分所有者変更届(規約31条直ちに書面)→未届なら登記で確認→買主へ請求。
  • 調査報告書の作成手数料は開示を受ける相手方(宅建業者)から受け取れる(15条2項)。
  • ひっかけ: 「競売なら承継しない」「知らずに買えば払わなくてよい」はいずれも誤り。

目標2持ち主が亡くなったとき、誰が相続人になり、どの割合で管理費を負うのか、相続放棄されたら組合は何をするのかを言える。

場面内容条文
相続人順位配偶者は常に、子→尊属→兄弟姉妹の順
法定相続分配偶者と子は各2分の1など
死亡までの滞納法定相続分で分割請求
相続放棄3か月以内に家庭裁判所へ申述民法915条
放棄と代襲放棄は代襲原因ではない
全員放棄組合が相続財産の清算人選任を申立て民法952条
共有時の議決権持分価格の過半数で1人定める区分所有法40条

ひっかけ: 相続放棄の熟慮期間は3か月。「10か月」は誤り

  • 相続人の順位: 配偶者は常に相続人。第1順位、第2順位=直系尊属、第3順位=兄弟姉妹(上位者がいれば下位は相続人にならない)。
  • 法定相続分: 配偶者と子=各2分の1/配偶者と直系尊属=配偶者3分の2・直系尊属3分の1/配偶者と兄弟姉妹=配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1。同順位が複数なら頭割り。
  • 死亡日までの滞納は法定相続分に応じて分割請求。死亡後に発生する管理費は共有する相続人全員に請求(「連帯債務」と断定はしない)。
  • 相続放棄: 熟慮期間3か月(自己のために相続の開始があったことを知った時から起算)、家庭裁判所に申述(915条938条939条)。利害関係人の請求で伸長可。
  • 相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとみなされる。放棄は代襲原因ではない(欠格・廃除・死亡のみが代襲原因)。
  • 相続人全員が放棄したら、管理組合は利害関係人として家庭裁判所に相続財産の清算人の選任を申し立てる(民法952条)。清算人が部屋を換価して滞納を清算。
  • 専有部分が共有になったら、共有者は持分の価格の過半数で議決権行使者を一人定める(区分所有法40条、2026年4月改正で決め方が明記)。
  • ひっかけ: 「遺産分割で相続人が決まるまで請求できない」「10か月以内に放棄」はいずれも誤り。

目標3賃借人(占有者)に管理規約が及ぶ範囲と、賃貸借の基本を言える。

論点内容条文
占有者の義務区分所有者と同一の義務を負う6条3項・46条2項
規約の効力占有者にも及ぶ、知不知は問わない46条1項
集会での扱い意見陳述はできるが議決権なし44条1項
賃貸時の届出誓約書借用の届出を提出規約19条2項・3項
敷金明渡し時に清算、通常損耗は不要民法622条の2
更新拒絶通知期間満了の1年〜6か月前まで借地借家法26条

ひっかけ: 占有者は議決権を持たない。「議決権あり」は誤り

  • 占有者は建物の管理・使用に関し、区分所有者と同一の義務を負う(6条3項の準用、46条2項)。
  • 規約・集会決議は特定承継人・占有者にも効力が及ぶ(46条1項・2項)。内容を知っていたかは問わない。
  • 占有者は利害関係があれば集会に出席して意見を述べることができる(44条1項)が、議決権は持たない
  • 44条2項の掲示事項に、2026年4月改正で議案の要領が追加された。
  • 賃貸に出す区分所有者は、借主から規約遵守の誓約書(規約19条2項)と借用した旨の届出19条3項)を提出させる。
  • 賃貸借の基本: 賃貸人の修繕義務(民法606条、賃借人の帰責事由は除く)、無断転貸の禁止(612条、違反は解除事由)、敷金は返還・明渡し時に清算(622条の2)、通常損耗は原状回復義務なし(621条)。
  • 借地借家法: 更新拒絶の通知は期間満了の1年前から6か月前まで26条)、正当の事由が必要(28条)。
  • ひっかけ: 「賃借人は使用方法の義務を負わない」「規約は借主に効かない」「敷金は契約時に即返還」はいずれも誤り。

出典:
タグ:
Q62過去問 / 令和元年度 問37(参考=区分所有法22条・7条2項)

次の事項のうち、区分所有法の規定によれば、規約で別段の定めをすることができないものはどれか。 1 専有部分と敷地利用権の分離処分の禁止 2 先取特権の被担保債権の範囲 3 集会におけるあらかじめ通知していない事項(集会の決議につき特別の定数が定められているものを除く。)の決議 4 解散した管理組合法人の残余財産の帰属の割合

正解: 2. 先取特権の被担保債権の範囲

1は22条1項ただし書『ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。』により規約で定めることができる。2が正解(できない)。7条には『規約で別段の定め』を許す規定がない。3は37条2項により規約で別段の定めをすることを妨げないとされる。4は56条により規約に別段の定めがある場合を除きと規定されており、規約で定めることができる。

補足: この単元の直接の出題パターンではないが、22条(分離処分の禁止)と7条(先取特権)の理解を横断的に問う設問として、design.md §2-5 の範囲に含めて収録した。

Q3過去問 / 平成30年度 問10

マンションの管理費の滞納等に関して、管理業務主任者が管理組合の管理者等に対して行った次のア〜エの説明のうち、誤っているものの組み合わせはどれか。 ア 滞納管理費の額が60万円以下のときは、民事訴訟法に定める「少額訴訟」の手続によらなければなりません。 イ 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、当該区分所有権を取得する相続人が決定していなくても、すべての相続人に対し、その法定相続分に応じて滞納管理費を請求することができます。 ウ 専有部分の売買契約によって、区分所有権を取得した買主は、売主が滞納していた管理費の支払債務を負いますが、売主の支払債務がなくなるわけではありません。 エ 区分所有者が破産手続開始の決定を受けたときは、当該区分所有者は、破産手続開始決定の日の翌日以降の管理費の支払債務を負わなくてよいことになります。

正解: 2. ア・エ

アは誤り。少額訴訟(民事訴訟法368条)は60万円以下の金銭支払請求について使うことができる手続であって、使わなければならない手続ではない。イは正しい。滞納管理費は可分債務なので、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割承継される(民法896条・899条)。ウは正しい(8条)。エは誤り。破産手続開始決定を受けても区分所有者であり続ける限り、その後発生する管理費の支払義務は負う。

Q13過去問 / 令和6年度 問25

区分所有者が、その所有する住戸を賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、不適切なものの組合せはどれか。 ア 賃貸借契約において、管理費の支払は賃借人が行う旨の合意があった場合でも、賃貸人である区分所有者が管理費の支払義務を負う。 イ 賃借人は、建物の使用方法に関して、区分所有者が集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うものではない。 ウ 賃借人は、住戸の設置又は保存に瑕疵があることによって、他人に損害が発生した場合には、その賃借人の免責事由の有無にかかわらず、損害賠償責任を負う。

正解: 3. イ・ウ

アは適切。管理費を負担するのは区分所有者であり(19条)、賃貸借契約上の取決めは組合に対抗できない。イは不適切(正解の一部)=46条2項の真逆。占有者は建物・敷地・附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。ウは不適切(正解の一部)。民法717条1項の工作物責任は、占有者がまず負うが『占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは』所有者が負うという占有者の免責が定められている。

Q24過去問 / 令和元年度 問1

相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 未成年者が法定代理人の同意を得ずに相続を放棄した場合において、当該未成年者及びその法定代理人は、制限行為能力を理由に、相続の放棄の意思表示を取り消すことができない。 2 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。 3 相続の放棄は、相続の開始があった時から3箇月以内にしなければならない。 4 被相続人Aの子Bが相続の放棄をした場合において、Bの子CがAの直系卑属であるときは、CがBを代襲する。

正解: 2. 2

2が正解。民法923条『相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。』放棄は各自単独でできるが、限定承認は全員一致でなければできない。1は誤り(相続放棄も法律行為なので、未成年者が法定代理人の同意なくした場合は取り消すことができる。民法5条2項)。3は誤り(起算点は『自己のために相続の開始があったことを知った時』であり、『相続の開始があった時』ではない。915条1項)。4は誤り(相続放棄は代襲原因ではない)。

Q55過去問 / 令和7年度 問41

Aが、自己所有の住戸をBに賃貸する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法によれば、最も適切なものはどれか。 1 Bが、その住戸部分を居住の用ではなく、業務の用に供するために賃借した場合には、借地借家法の規定は適用されない。 2 Bは、建物賃借権についての登記がなくても、Aから建物の引渡しを受けた場合には、その後に当該建物をAから買い受けた第三者に対して、建物賃借権を対抗することができる。 3 AとBが、定期建物賃貸借契約を締結する場合には、必ず公正証書によってしなければならない。 4 AB間の賃貸借契約の契約期間を定めなかった場合には、その契約は、期間1年の賃貸借契約とみなされる。

正解: 2. 2

1は不適切。借地借家法は建物の賃貸借一般に適用され、居住用か事業用かを問わない。2が適切=正解。借地借家法31条『建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。』(引渡し=対抗要件)。3は不適切。38条1項は『公正証書による等書面によって』とあり、公正証書に限られず書面(電磁的記録を含む)であればよい。4は不適切。期間を定めなかった場合は『期間の定めのない建物賃貸借』になるだけで、1年とみなす規定はない(29条1項の『期間を1年未満とする賃貸借は期間の定めのない賃貸借とみなす』との混同を誘うひっかけ)。

Q57自作

あなたは管理業務主任者。組合員Aが死亡し、配偶者Bと子C・Dの2人が相続人である。Aの死亡日までの滞納管理費が40万円ある場合、それぞれへの請求額として正しいものはどれか。

正解: 2. B20万円、C10万円、D10万円

民法900条1号により配偶者2分の1・子2分の1(子2人なら各4分の1)。40万円なら、B=20万円、C・D=各10万円となる。

Q2過去問 / 平成30年度 問34

区分所有法第8条に規定される特定承継人の責任に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものの組み合わせはどれか。 ア 債務者たる区分所有者の特定承継人とは、特定の原因により区分所有権を承継して実質的に区分所有関係に入る者をいい、単に当該区分所有権を転売する目的で取得した者は、特定承継人には該当しない。 イ 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。 ウ 区分所有者は、規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。 エ マンションの外壁の剥落事故により負傷した第三者は、事故後に当該マンションの区分所有者となった特定承継人に対して、その損害の賠償を請求することができる。

正解: 3. ア・エ

アは誤り。8条は取得の目的を問わない。転売目的で取得した者も特定承継人にあたり、『実質的に区分所有関係に入る者に限る』という限定は条文にない。イ・ウは正しい。7条1項の債権(共用部分等に関する債権、規約・決議に基づく債権=管理費・修繕積立金を含む)は8条により特定承継人に行使できる。エは誤り。8条が承継させるのは7条1項の債権に限られ、外壁剥落によるけがの損害賠償請求権は不法行為(民法709条)・工作物責任(717条)に基づく債権であって7条1項の債権ではないため、事故後に区分所有者になった者には請求できない。

Q14過去問 / 令和7年度 問27

集会に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。 1 区分所有者全員の同意があるときは、会議の目的たる事項や議案の要領を通知しなくても、集会を開くことができる。 2 一部の区分所有者による集会の招集権の濫用を防ぐため、『区分所有者の4分の1以上で議決権の4分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができる。』と、規約を変更することができる。 3 専有部分の賃借人が規約に従ってペット飼育をしていた場合、ペット飼育禁止の規約変更がなされるときは、当該賃借人は、賃貸人である区分所有者の同意を得なければ、集会に出席して意見を述べることができない。 4 規約及び集会の決議は、専有部分を区分所有者からその内容を知らずに買い受けた者に対しては、当該部分についてはその効力が生じない。

正解: 1. 1

1が正解。区分所有法36条により、区分所有者全員の同意があれば招集の手続を経ないで集会を開くことができ、通知の中身も不要になる。2は誤り。34条3項の定数(5分の1以上・議決権5分の1以上)は規約で『減ずる』ことができるだけで、4分の1に引き上げるのは認められない。3は誤り。44条1項は『区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者』であることを要件とするが、意見陳述自体に賃貸人の別途の同意は要らない。4は誤り。46条1項により、規約及び集会の決議は特定承継人に対して効力を生じ、内容を知っていたかどうかは問わない。

Q31過去問 / 令和7年度 問39

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。 1 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、その相続人のあることが明らかでないときは、管理組合は、家庭裁判所に対し相続財産の清算人の選任を請求することができる。 2 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、その相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から10箇月以内に、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。 3 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割により当該区分所有者の区分所有権を取得する相続人が決定するまでは、管理組合はその滞納している管理費を請求することができない。 4 管理組合は、相続人に対し、被相続人である前区分所有者の滞納管理費を請求することができるが、相続人に支払遅延の責任はないため、その遅延損害金を請求することはできない。

正解: 1. 1

1が正解。民法952条1項により、家庭裁判所は利害関係人(滞納管理費の債権者である管理組合を含む)又は検察官の請求によって相続財産の清算人を選任する。2は不適切。期間は『10箇月』ではなく『3箇月』(915条1項)。3は不適切。滞納管理費は相続開始と同時に法定相続分に応じて分割承継されるので、遺産分割を待つ必要はない。4は不適切。相続人は被相続人の一切の権利義務を承継する(896条)ので、遅延損害金の支払義務も承継する。

Q49自作

普通建物賃貸借において、期間満了に伴う更新拒絶の通知は、借地借家法によればいつまでにする必要があるか。

正解: 2. 期間満了の1年前から6か月前まで

借地借家法26条1項『期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知…をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。』

Q58自作

あなたは管理業務主任者。組合員Aが死亡し、配偶者はおらず、子E・F・Gの3人のみが相続人である。Aの死亡日までの滞納管理費が30万円ある場合、それぞれへの請求額として正しいものはどれか。

正解: 1. 各10万円ずつ均等

配偶者がいないため子3人が同順位で頭割りする(民法900条4号)。30万円を3等分し、各10万円になる。

Q1過去問 / 令和5年度 問39

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 4. 競売手続によってマンションの区分所有権を取得した場合には、買受人は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継しない。

1は適切。遅延損害金は規約に定めがなくても民法の法定利率により請求できる。2は適切。管理費の債務者は区分所有者であり(区分所有法19条)、賃貸借契約上の内部的な取決めは組合に対抗できない。3は適切。8条は買主に『対しても』請求できるという規定で、売主の債務が消えるとは書いていない。組合は両方に請求でき、支払った買主は売主に求償する。4が不適切=正解。競売による買受人も特定の原因により区分所有権を承継した者=特定承継人にあたり、8条により前区分所有者の滞納管理費を承継する。

Q16自作

区分所有法46条2項により、規約の効力は占有者(賃借人)本人に対しても、その使用方法に関する限り及ぶ。

正解: 1. ○

46条2項『占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。』のとおり。

Q33過去問 / 令和4年度 問9

管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び民事訴訟法によれば、最も適切なものはどれか。 1 管理組合が、管理費の滞納者に対し、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求した後、その時から6箇月を経過するまでの間に、再度、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求すれば、あらためて時効の完成猶予の効力が生じる。 2 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割によって当該マンションを相続した相続人が滞納債務を承継し、他の相続人は滞納債務を承継しない。 3 管理費の滞納者が、滞納額25万円の一部であることを明示し、管理組合に対し5万円を支払った場合には、残りの20万円については、時効の更新の効力を有する。 4 管理費の滞納者が行方不明になった場合には、管理組合は、当該滞納者に対し、滞納管理費の支払についての訴えを提起することができない。

正解: 3. 3

1は不適切。催告によって時効の完成が猶予されている間に再度催告をしても、その再度の催告には完成猶予の効力がない(民法150条2項)。2は不適切。滞納管理費は可分債務なので相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割承継され、遺産分割で部屋を取得した人だけが負うわけではない。3が適切=正解。債務の一部の弁済は債務全体についての承認にあたり、残額についても時効更新の効力を生じる。4は不適切。行方不明でも公示送達(民事訴訟法110条)により訴えを提起できる。

Q51自作

賃貸人が期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をしても、正当の事由がなければ、期間満了により賃貸借は終了しない。

正解: 1. ○

借地借家法28条により、更新拒絶等の通知には正当の事由が必要とされ、正当事由が認められなければ更新拒絶の効果は生じない。

Q4自作

宅地建物取引業者から「303号室の売却を預かった」として重要事項調査報告書の交付を求められた。管理業者の対応として、標準管理委託契約書によれば最も適切なものはどれか。

正解: 2. 宅地建物取引業者から理由を付した書面による求めがあれば、管理組合に代わって管理規約等の写しを提供し、別表第5に掲げる事項を開示することができる。

標準管理委託契約書第15条1項により、宅建業者が理由を付した書面で求めてきたときは、管理業者は組合に代わって管理規約等の写しを提供し、別表第5に掲げる事項を開示できる。1は誤り(組合員本人が情報収集のため求めてきたときも同様に開示できると15条1項後段にあり、宅建業者からの求めに限定されない)。3は誤り(別表第55号に管理費等の滞納額と遅延損害金の有無・額を記載する)。4は誤り(別表第56号(4)に修繕積立金の積立方式=均等・段階増額を記載する)。

Q7自作

標準管理規約上、区分所有者の資格の得喪の届出は、資格が変動した日から2週間以内にすればよい。

正解: 2. ×

標準管理規約31条1項の文言は『直ちに』であり、『2週間以内』のような猶予期間は定められていない。

Q15自作

占有者が共同の利益に反する行為をした場合、区分所有法6条1項自体が占有者に直接適用されるのではなく、同条3項によって同条1項の規定が占有者に準用される。

正解: 1. ○

区分所有法6条1項は区分所有者を名宛人とする規定で、6条3項が『前項の規定は…占有者に準用する』と定めることで初めて占有者にも及ぶ。

Q18自作

区分所有者が住戸を賃貸するとき、標準管理規約第19条により賃借人から管理組合へ提出させるべき書類の組み合わせとして正しいものはどれか。

正解: 3. 規約遵守の誓約書と、専有部分を借用した旨の届出の両方

標準管理規約19条2項は規約・使用細則を遵守する旨の誓約書の提出、同条3項は専有部分を借用した旨の届出の提出を、それぞれ区分所有者に借主から提出させる義務として定めている。

Q20自作

占有者は、利害関係があれば集会に出席して意見を述べることができるが、議決権を行使することはできない。

正解: 1. ○

区分所有法44条1項は出席・意見陳述を認めるにとどまり、議決権は区分所有者に属する。『占有者が総会で議決権を持つ』というのは典型的な誤り。

Q32過去問 / 令和5年度 問40

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。 1 管理費の滞納者が、管理組合に対し、滞納管理費の額と滞納している事実を認めた場合は、その時から、当該債権について時効の更新の効力が生じる。 2 管理費の滞納者が死亡した場合は、その相続人が、当該マンションに居住しているか否かにかかわらず、それぞれの相続分に応じて、当該滞納管理費債務を承継する。 3 管理費の滞納者に対して訴訟を提起するためには、事前に内容証明郵便による督促を行う必要がある。 4 管理費の滞納者が死亡し、その相続人全員が相続放棄した場合は、いずれの相続人も滞納管理費債務を負わない。

正解: 3. 3

1は適切(民法152条1項、承認は時効の更新事由)。2は適切(896条・899条、可分債務として相続分に応じ当然分割)。3が不適切=正解。訴えの提起に『事前の内容証明郵便による督促』を要求する規定はない。4は適切(939条、放棄者は初めから相続人とならなかったものとみなされる)。

Q40過去問 / 平成30年度 問30

甲マンションに居住している組合員Aが死亡し、同居する妻Bと、甲マンションの近隣に住む子Cが共同相続した場合に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も適切なものはどれか。 1 総会の招集通知を発するときは、BとCの両方に対して発しなければならない。 2 Cが議決権を行使する者としての届出をしたときは、Bは、議決権を行使することができない。 3 BとCが議決権を行使する者の届出をしなかったときは、BとCは、その相続分に応じて議決権を行使することができる。 4 Cは、甲マンションに現に居住している組合員ではないので、管理組合の役員になることはできない。

正解: 2. 2

1は不適切。区分所有法35条2項により、共有者への通知は40条により定められた議決権行使者(いなければ共有者の一人)にすれば足りる。2が適切=正解。区分所有法40条・標準管理規約46条2項3項により、共有者はあわせて一の組合員とみなされ、議決権を行使する者1名を届け出るので、Cが届け出た以上、行使できるのはCだけ。3は不適切。40条は議決権を行使すべき者一人を定めなければならないと義務づけており、持分に応じて分けて行使するのではない。4は不適切。標準管理規約は平成28年改正で役員の『現に居住する』要件を外している。

補足: 40条は2026年4月1日改正で『専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。』と改まった。『一人を定めなければならない』という結論(本問の正解)は変わらないが、今後は『どう決めるか』(持分の価格の過半数)まで問われる可能性が高い。

Q47自作

賃借人が賃貸人の承諾を得ずに第三者に住戸を転貸した場合の効果として、民法の規定によれば正しいものはどれか。

正解: 3. 賃貸人の承諾を得ずに第三者に使用収益させたときは、賃貸人は契約を解除することができる

民法612条1項は賃借権の譲渡・転貸に賃貸人の承諾を要求し、2項は『賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。』と定める(判例上、信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合は解除が制限されることがある)。

Q53自作

敷金の返還時期について、民法の規定によれば正しいものはどれか。

正解: 2. 賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに、未払賃料等を控除した残額を返還する

民法622条の2第1項1号『賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき』に、それまでに生じた賃借人の金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならないと定める。

Q12自作

あなたは管理業務主任者。303号室(滞納管理費30万円)が売却され、買主Xに所有権が移転した。次のうち正しいものはどれか。

正解: 3. 買主Xは滞納管理費の支払義務を負い、売主の支払義務も消滅しない。組合はどちらにも請求できる

区分所有法8条により、買主は特定承継人として滞納管理費の支払義務を負う。善意・悪意は問わない(1・4は誤り)。8条は買主に『対しても』請求できるという規定にとどまり、売主の債務が消えるわけではない(2は誤り)。組合は買主・売主のどちらにも請求でき、支払った買主は売主に求償できる。

Q43自作

あなたは管理業務主任者。組合員Aが死亡し、相続人となるはずだった者全員が相続放棄をした。組合が滞納管理費を回収するために取るべき手続として正しいものはどれか。

正解: 2. 管理組合は利害関係人として家庭裁判所に相続財産の清算人の選任を申し立てることができる

民法952条1項により、相続人のあることが明らかでないときは、利害関係人(滞納管理費の債権者である管理組合を含む)又は検察官の請求によって家庭裁判所が相続財産の清算人を選任する。1・4は誤り(放棄した者は初めから相続人でなかったものとみなされ、以後請求できない。939条)。3のような強制取得の制度はない。

Q22自作

あなたは管理業務主任者。賃借人が使用細則に違反してペットを飼育し、近隣から苦情が出ている。組合が取りうる対応として適切なものはどれか。

正解: 2. 賃借人は占有者として使用方法について区分所有者と同一の義務を負うため、賃借人に是正を求めることができる。あわせて区分所有者にも指導を求める

区分所有法6条3項・46条2項により、占有者(賃借人)は建物の使用方法につき区分所有者と同一の義務を負うので、組合は賃借人にも直接是正を求めることができる。あわせて、標準管理規約19条により規約を遵守させる義務を負う区分所有者にも指導を求めるのが実務の対応になる。

Q5自作

重要事項調査報告書を作成する管理業者は、その作成手数料を、依頼を出した区分所有者(売主)ではなく、開示を受ける相手方(宅地建物取引業者等)から受け取ることができる。

正解: 1. ○

標準管理委託契約書第15条2項により、管理業者は同条1項の業務に要する費用を、管理規約等の提供又は開示を行う相手方(宅建業者等)から受領することができる。毎月の委託業務費とは別の収入になる。

Q6自作

303号室の売買が成立し、新しい区分所有者に所有権が移転した。標準管理規約の届出義務に関する記述のうち、正しいものはどれか。

正解: 2. 新たに組合員の資格を取得した者は、直ちに書面によりその旨を管理組合に届け出なければならない。

標準管理規約第31条1項は『新たに組合員の資格を取得し、又は喪失した者は、直ちにその旨を書面により管理組合に届け出なければならない』と定める。1・4は誤り(取得した者にも喪失した者にも届出義務がある)。3は誤り(書面によることが要件)。

Q8自作

区分所有法8条は、買主が売主の滞納の存在を知っていたか知らなかったかを問わずに適用される。

正解: 1. ○

8条に善意・悪意の区別は設けられていない。買主が滞納の存在を知らずに買っても支払義務を負う。だからこそ重要事項調査報告書で滞納額を必ず開示する必要がある。

Q9自作

贈与によって区分所有権を取得した者も、区分所有法8条の特定承継人として、前の区分所有者の滞納管理費の支払義務を負う。

正解: 1. ○

特定承継人は売買の買主に限られず、贈与・交換で受け取った者、競売の買受人など、ある部屋を個別の原因で受け継いだ者を広く含む。

Q10自作

競売による買受人が区分所有法8条の特定承継人にあたることは、区分所有法の条文に明文で規定されている。

正解: 2. ×

8条は『特定承継人』とだけ定めており、競売の買受人が含まれることは条文に明記されていない。買受人も特定承継人にあたるというのは判例・通説による解釈であり、条文の明文ではない点に注意(sources.md参考)。

Q11自作

規約に基づいて発生する遅延損害金の債権は、区分所有法7条1項後段の『規約若しくは集会の決議に基づき有する債権』に含まれ得るため8条の対象になり得るが、条文上『遅延損害金』という語そのものは書かれていない。

正解: 1. ○

遅延損害金・違約金の承継は実務・裁判例で扱われているが、条文自体に明文の規定はない。断定はせず、開示すべき事項(標準管理委託契約書別表第5⑮)として扱われている事実の限度で理解する。

Q17自作

占有者が意見を述べうる集会について、招集通知を発した後の掲示事項には、2026年4月の改正によって『議案の要領』が追加された。

正解: 1. ○

改正前の44条2項は『集会の日時、場所及び会議の目的たる事項』の掲示のみを求めていたが、2026年4月1日施行の改正で『議案の要領』が加わった。

Q19自作

標準管理規約第19条により、賃借人に誓約書等を提出させる義務を負うのは、賃貸に出した区分所有者であって、賃借人本人が自らの意思で提出義務を負うわけではない。

正解: 1. ○

19条2項・3項はいずれも区分所有者に対して『契約の相手方(賃借人)に…提出させなければならない』と義務を課しており、規約上の一次的な義務者は区分所有者である。

Q21自作

占有者が集会で意見を述べるためには、そもそも区分所有者の承諾を得て専有部分を占有している者であることが前提となる。

正解: 1. ○

44条1項は『区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者』を要件とする。無断で占有している者は44条の対象にならない。

Q23過去問 / 令和4年度 問5

Aが死亡した場合における相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア Aの子Bが相続放棄をした場合は、Bの子でAの直系卑属であるCが、Bに代わって相続人となる。 イ Aの子Dに相続欠格事由が存在する場合は、Dの子でAの直系卑属であるEが、Dに代わって相続人となる。 ウ Aの遺言によりAの子Fが廃除されていた場合は、Fの子でAの直系卑属であるGが、Fに代わって相続人となる。 エ Aの子HがAより前に死亡し、さらにHの子でAの直系卑属であるIもAより前に死亡していた場合は、Iの子でAの直系卑属であるJが相続人となる。

正解: 1. 一つ

アが不適切(これが正解=不適切は一つ)。民法887条2項の代襲原因は『相続開始以前の死亡』『欠格』『廃除』の3つで、相続放棄は含まれない。放棄した者は初めから相続人とならなかったものとみなされる(939条)ので、その子も代襲しない。イ(欠格)・ウ(廃除)は代襲原因にあたり適切。エは887条3項の再代襲にあたり適切。

Q25自作

被相続人に子も直系尊属(父母・祖父母)もなく、兄弟姉妹2人のみが相続人となる場合、配偶者がいないときの各兄弟姉妹の法定相続分はどれか。

正解: 2. 各2分の1

配偶者がいない場合、同順位の相続人(ここでは兄弟姉妹2人)が全財産を頭割りする。民法900条4号により、同順位の相続人が複数いるときは相等しい割合となる。

Q26自作

被相続人に子がなく、母のみが存命で、兄弟姉妹2人がいる場合、相続人になるのは母のみであり、兄弟姉妹は相続人にならない(配偶者は考慮しない)。

正解: 1. ○

民法889条1項により、直系尊属(第2順位)が存在する場合、兄弟姉妹(第3順位)は相続人にならない。上位の順位に該当者がいる間は下位の順位に相続権は回らない。

Q27自作

組合員Aが死亡し、配偶者Bと子C・Dの2人が相続人である場合の法定相続分の組み合わせとして正しいものはどれか。

正解: 1. B2分の1、C4分の1、D4分の1

民法900条1号により、配偶者と子が相続人であるときは、配偶者2分の1、子(全員で)2分の1。子が2人の場合はこれを均等に分けるので、それぞれ4分の1ずつになる。

Q28自作

組合員Aが死亡し、配偶者Bと、Aの父母(直系尊属)2人が相続人である場合の法定相続分の組み合わせとして正しいものはどれか。

正解: 2. B3分の2、父母各6分の1

民法900条2号により、配偶者と直系尊属が相続人であるときは、配偶者3分の2、直系尊属3分の1。直系尊属が2人(父母)いる場合は3分の1を頭割りするので、各6分の1になる。

Q29自作

組合員Aが死亡し、配偶者はおらず、子E・F・Gの3人のみが相続人である場合の法定相続分はどれか。

正解: 1. 各3分の1

配偶者がいない場合、子のみが同順位で相続人となり、900条4号により相等しい割合=頭割りとなるので各3分の1。

Q30自作

同順位の相続人が複数いる場合、その相続分の按分は、民法上、原則として頭割り(均等)である。

正解: 1. ○

民法900条4号本文『子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。』ただし同号ただし書で父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1とされる例外がある。

Q34自作

相続人のあることが明らかでない場合に、家庭裁判所へ相続財産の清算人の選任を請求できる者の組み合わせとして正しいものはどれか。

正解: 1. 利害関係人及び検察官

民法952条1項『家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。』滞納管理費の債権者である管理組合は利害関係人にあたる。

Q35自作

相続財産の清算人は、必ず被相続人の親族の中から選任しなければならない。

正解: 2. ×

民法952条にそのような限定はなく、実務では弁護士等の第三者が選任されることが多い。

Q36自作

相続放棄の方式について、民法の規定によれば正しいものはどれか。

正解: 2. 家庭裁判所にその旨を申述しなければならない

民法938条『相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。』

Q37自作

相続放棄の熟慮期間3か月は、被相続人が死亡した日から起算する。

正解: 2. ×

起算点は死亡日ではなく『自己のために相続の開始があったことを知った時』(民法915条1項)。遠い順位の親族に相続権が回ってきた場合は、そこから数え直す。

Q38自作

相続放棄の3か月の期間は、家庭裁判所の許可があっても伸長することはできない。

正解: 2. ×

民法915条1項ただし書により、この期間は利害関係人又は検察官の請求によって家庭裁判所が伸長することができる。

Q39自作

区分所有者が死亡し、遺産分割によって区分所有権を取得する相続人が決まるまでは、管理組合は滞納管理費を一切請求することができない。

正解: 2. ×

滞納管理費は金銭債務(可分債務)であり、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割承継されるため、遺産分割を待たずに各相続人へ請求できる。

Q41自作

専有部分が、持分価格60%・25%・15%の3人(X・Y・Z)の共有になっている。改正後の区分所有法40条によれば、議決権行使者の定め方として正しいものはどれか。

正解: 2. 持分価格の過半数の意思で議決権行使者を1名定める(Xの意思だけで足りる)

改正後の40条は『各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもって、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない』と定める。Xは60%で単独で過半数を有するため、Xの意思だけで議決権行使者を定めることができる。

補足: 2026年4月1日施行の改正で『各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて』の部分が追加された。

Q42自作

専有部分の共有者が議決権行使者の届出をしていない場合でも、各共有者は自己の持分割合に応じて単独で議決権を行使できる。

正解: 2. ×

区分所有法40条により共有者は議決権を行使すべき者一人を定めなければならず、各共有者がばらばらに持分割合で議決権を行使することは認められていない。

Q44自作

賃貸借契約における修繕義務について、民法の規定によれば正しいものはどれか。

正解: 2. 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うが、賃借人の責めに帰すべき事由による場合は除かれる

民法606条1項『賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。』1は誤り(ただし書で除外される)。3は誤り(607条の2は一定の要件下で賃借人自らの修繕を認める)。4は誤り(賃貸物の一部が使用収益できなくなった場合の賃料減額に関する規定が別途ある)。

Q45自作

賃借人は、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化については、原状回復義務を負わない。

正解: 1. ○

民法621条により、通常損耗・経年変化は賃借人の原状回復義務の対象から除かれる。

Q46自作

賃借人は、賃借物の修繕が必要な場合、賃貸人の承諾がなくても常に自ら修繕することができる。

正解: 2. ×

民法607条の2は、賃借人が賃貸人に修繕の必要を通知した(又は賃貸人が知った)にもかかわらず相当期間内に修繕しないとき、又は急迫の事情があるときに限り、賃借人が自ら修繕できると定める。無条件に常にできるわけではない。

Q48自作

賃借人が賃貸人の承諾を得て適法に転貸した場合、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負うことはない。

正解: 2. ×

民法613条1項『転貸借が適法にされたときは、転借人は、賃貸人及び賃借人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。』転借人は賃貸人に対しても直接義務を負う。

Q50自作

借地借家法26条1項の更新拒絶の通知は、賃貸人からだけでなく、賃借人からも同じ期間内にすることができる。

正解: 1. ○

26条1項は『当事者が』更新をしない旨の通知等をしなかったときと定めており、賃貸人・賃借人のいずれからの通知にも適用される。

Q52自作

期間の定めがない普通建物賃貸借において、賃貸人から解約の申入れをした場合、その申入れの日から6か月を経過することによって賃貸借は終了する。

正解: 1. ○

借地借家法27条1項『建物の賃貸借について期間の定めがない場合において、賃貸人が解約の申入れをしたときは、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。』

Q54自作

敷金とは、いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の金銭債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。

正解: 1. ○

民法622条の2柱書の定義そのままの記述。名目が『保証金』などであっても、この定義に当てはまれば敷金として扱われる。

Q56自作

組合が買主に滞納管理費の全額を請求し、買主がこれを支払った場合、組合は同じ滞納分について重ねて売主に請求することはできない。

正解: 1. ○

買主の弁済によって滞納債権は消滅するため、組合が同じ債権を重ねて売主に請求することはできない。ただし支払った買主は、前の持ち主(売主)に求償することができる。

Q59自作

相続人が複数いる場合、管理組合は相続人全員に対し、それぞれの法定相続分に応じた請求書を送付することができる。

正解: 1. ○

亡くなった日までの滞納は法定相続分に応じて分割承継されるため、各相続人に相続分に応じた金額を請求する取扱いになる。

Q60自作

相続人全員が相続放棄をしても、被相続人が滞納していた管理費債務そのものが消滅するわけではない。

正解: 1. ○

債務は相続財産の一部としてなお存在し、選任された相続財産の清算人によって清算(部屋の換価等)に充てられる。

Q61自作

占有者(賃借人)が使用細則に違反した場合でも、区分所有者(貸主)にはその是正について何の責任も生じない。

正解: 2. ×

標準管理規約19条1項・2項により、区分所有者は借主に規約・使用細則を遵守させる義務を負っており、無関係ではいられない。

令和4年度 問5公式過去問 / 民法

Aが死亡した場合における相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、不適切なものはいくつあるか。アAの子Bが相続放棄をした場合は、Bの子でAの直系卑属であるCが、Bに代わって相続人となる。イAの子Dに相続欠格事由が存在する場合は、Dの子でAの直系卑属であるEが、Dに代わって相続人となる。ウAの遺言によりAの子Fが廃除されていた場合は、Fの子でAの直系卑属であるGが、Fに代わって相続人となる。エAの子HがAより前に死亡し、さらにHの子でAの直系卑属であるIもAより前に死亡していた場合は、Iの子でAの直系卑属であるJが相続人となる。

正解: 1. 一つ

代襲相続(民法887条2項・3項)は、被代襲者に相続欠格・廃除の事由がある場合や被代襲者が先に死亡した場合に生じるが、「相続放棄」は代襲原因に含まれない。よってア(放棄した者の子が代襲相続人となる)が誤りで、イ(欠格)・ウ(廃除)・エ(再代襲)は正しい記述。不適切なものは一つ。

令和4年度 問9公式過去問 / 民法/民事訴訟法

管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び民事訴訟法によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 3. 管理費の滞納者が、滞納額25万円の一部であることを明示し、管理組合に対し5万円を支払った場合には、残りの20万円については、時効の更新の効力を有する。

民法152条の承認による時効更新は、可分債務の一部弁済であっても残額全体を含めた債務の承認とみなされ、残額についても更新の効力が及ぶと解されている(選択肢3が正解)。催告(150条)は6か月間のみ完成猶予の効力を生じ、その猶予期間中に再度催告しても再度の完成猶予は生じない(選択肢1は誤り)。金銭債務は相続開始時に法定相続分に応じて当然分割承継されるのが原則で、遺産分割の対象外というのが判例の考え方(選択肢2は誤り、他の相続人も承継する)。行方不明者に対しても公示送達等により訴訟提起は可能(選択肢4は誤り)。

令和4年度 問11公式過去問 / 民法/民事訴訟法

管理費の滞納に対する法的手続等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解: 3. 管理組合は、管理費を滞納している区分所有者に対する訴訟の目的の価額が140万円を超えない場合は、簡易裁判所に訴えを提起することができる。

簡易裁判所の事物管轄は訴額140万円以下(裁判所法33条1項1号)であり、選択肢3が正しい(正解)。金銭債務の不履行では不可抗力は抗弁とならない(民法419条3項、選択肢1は誤り)。買主は売主の滞納管理費債務(区分所有法8条の特定承継人責任)とともに遅延損害金債務も承継する(選択肢2は誤り)。催告は方式を問わず普通郵便でも6か月間の時効の完成猶予の効力を生じる(民法150条、選択肢4は誤り)。

令和5年度 問7公式過去問 / 標準管理委託契約書/マンション管理適正化法

標準管理委託契約書に関する次の記述のうち、適切な記述のみを全て含むものは次の1〜4のうちどれか。アマンションの専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を、管理組合が行うとされている場合において、管理組合からマンション管理業者に対して依頼があるときには、当該部分の管理を管理委託契約に含めることも可能である。イマンション管理業者は、管理組合の組合員が管理費等を滞納したときは、その支払の督促を行うが、督促しても当該組合員がなお滞納管理費等を支払わないときは、マンション管理業者は当該滞納にかかる督促業務を終了する。ウ宅地建物取引業者が、管理組合の組合員から当該組合員が所有する専有部分の売却の依頼を受け、その媒介の業務のために、理由を付した書面により管理規約の提供を求めてきたときは、マンション管理業者は、当該管理組合に代わって、当該宅地建物取引業者に対し、管理規約の写しを提供することになるが、その場合、その提供に要する費用を当該宅地建物取引業者から受領することができる。

正解: 4. ア・イ・ウ

共用部分と構造上一体となった専有部分の設備管理を管理組合が行う場合、依頼があれば管理委託契約に含めることができる(ア)。滞納者への督促後もなお支払われないときは管理業者の督促業務は終了する(イ、標準管理委託契約書11条)。宅建業者からの書面請求に基づく規約写しの提供費用は当該宅建業者から受領できる(ウ、同15条)。いずれも適切。

令和5年度 問28公式過去問 / 標準管理規約

専有部分の占有者等に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 1. 総会の議題が専有部分でのペットの飼育を禁止にする件であったため、同居しているペットの飼い主である甥を代理人として議決権を行使させた。

議決権行使の代理人資格は配偶者・一親等の親族・同居の親族等に限定されるが、同居しているペットの飼い主である甥は「同居親族」に該当し得るため代理人として議決権を行使させることができる。管理費等相当額を家賃に含める賃借人であっても管理費等に関する利害関係人として帳簿閲覧請求は可能であり、水漏れ事故時の理事長の立入り請求を賃借人が拒むことは正当理由なくできない点で他の選択肢は不適切。

令和5年度 問39公式過去問 / 民法/区分所有法

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 4. 競売手続によってマンションの区分所有権を取得した場合には、買受人は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継しない。

区分所有権が競売手続により取得された場合も、買受人は区分所有法8条の「特定承継人」に該当し、前区分所有者の滞納管理費支払義務を承継する。よって「承継しない」とする記述は誤り。遅延損害金は規約に定めがなくても法定利率により請求できる点、賃借人が管理費を滞納した場合に区分所有者へ請求できる点、売買による承継後も売主自身の支払義務は消滅しない点はいずれも正しい。

令和5年度 問40公式過去問 / 民法/区分所有法

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 3. 管理費の滞納者に対して訴訟を提起するためには、事前に内容証明郵便による督促を行う必要がある。

管理費滞納者への訴訟提起にあたり、事前に内容証明郵便による督促を行うことは法律上の要件ではない。滞納者本人による滞納事実の承認は時効の更新事由となる(民法152条)点、金銭債務は相続開始により相続分に応じて当然分割承継される点、相続人全員が相続放棄すれば誰も滞納債務を負わない点はいずれも正しい。

令和6年度 問2公式過去問 / 民法/区分所有法

マンションに関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び判例によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 3. マンションの敷地上の駐車場を賃借している区分所有者が、管理組合に無断で当該駐車場を外部の第三者に転貸して収入を得ているときは、管理組合は、当該賃貸借契約を解除することができる。

正解は3。管理組合に無断で駐車場を第三者に転貸し収入を得る行為は、賃貸借契約における無断転貸(民法612条)に当たり、管理組合は契約を解除できる。選択肢1は区分所有権の取得を第三者に対抗するには登記が必要(民法177条)であり届出だけでは対抗できない点、選択肢2は意思表示は到達主義(民法97条)が原則で到達しなければ効力を生じない点、選択肢4は区分所有法3条の団体が契約当事者となるには管理者選任のみならず権利能力なき社団としての実体(代表者の定め等)が必要である点で、それぞれ誤り。

令和6年度 問3公式過去問 / 民法

契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 4. 管理組合が、第三者に賃貸している敷地上の駐車場に対して行った保存行為が、第三者の意思に反する場合であっても、駐車場の目的を達することができるかぎり、第三者は、当該駐車場賃貸借契約を解除することができない。

正解は4。民法606条2項により、賃貸人が保存行為をする場合、それが賃借人の意思に反するときであっても、賃貸借の目的を達することができるときは賃借人は契約を解除できない。選択肢1は委任契約の解除(651条2項)は損害賠償責任を伴うが解除自体は可能である点、選択肢2は請負契約は仕事完成前であれば注文者は損害を賠償して解除できる点(641条)、選択肢3は契約不適合の場合、追完請求・代金減額請求のほか解除も可能である点(564条)で、それぞれ誤り。

令和6年度 問25公式過去問 / 民法/区分所有法

区分所有者が、その所有する住戸を賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、不適切なものの組合せはどれか。ア賃貸借契約において、管理費の支払は賃借人が行う旨の合意があった場合でも、賃貸人である区分所有者が管理費の支払義務を負う。イ賃借人は、建物の使用方法に関して、区分所有者が集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うものではない。ウ賃借人は、住戸の設置又は保存に瑕疵があることによって、他人に損害が発生した場合には、その賃借人の免責事由の有無にかかわらず、損害賠償責任を負う。

正解: 3. イ・ウ

正解は3(イ・ウが不適切)。区分所有法46条2項により、占有者(賃借人)は区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うため、イの「同一の義務を負うものではない」は誤り。民法717条の工作物責任では、占有者は損害発生防止に必要な注意をした場合(免責事由)は責任を免れ、その場合は所有者が無過失責任を負う仕組みであるため、ウの「免責事由の有無にかかわらず賃借人が責任を負う」は誤り。アは、管理費支払義務が区分所有者に帰属し、賃借人との内部合意を管理組合に対抗できない旨であり正しい。

令和6年度 問39公式過去問 / 民法/区分所有法/民事訴訟法/破産法

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、区分所有法、民事訴訟法及び破産法によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 3. 管理費の滞納者が行方不明の場合であっても、管理組合は、その者に対して、滞納管理費の支払請求についての訴えを提起することができる。

正解は3。滞納者が行方不明であっても、公示送達(民事訴訟法110条以下)の制度により訴えを提起し送達することができる。選択肢1は破産手続開始決定を受けても、その後も居住を継続する限り新たに発生する管理費の支払義務までは免れない点、選択肢2は区分所有法8条により特定承継人は善意・悪意を問わず前区分所有者の滞納債務を承継する点、選択肢4は消滅時効の利益はあらかじめ放棄できない(民法146条)一方、時効完成後の援用自体を規約で排除することはできないと解される点で、それぞれ誤り。

令和7年度 問30公式過去問 / 標準管理規約

組合員等の情報に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 3. 理事長は、組合員名簿を作成、保管すれば足り、その他に、賃借人を含む現にマンションに居住している者の居住者名簿は作成、保管する必要はない。

標準管理規約では、理事長は組合員名簿に加え、賃借人を含む現にマンションに居住する者の居住者名簿についても作成・保管することとされており、「居住者名簿は作成、保管する必要はない」とする③は誤り。

令和7年度 問34公式過去問 / 標準管理規約

区分所有者が専有部分を貸与する場合に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 1. 区分所有者は、賃借人による対象物件の使用、収益に際し、当該賃借人が規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めた賃貸借契約書の写しを管理組合に提出しなければならない。

標準管理規約では、区分所有者に賃借人からの誓約書の提出をさせることは求められているが、賃貸借契約書の写し自体を管理組合に提出しなければならないとまでは規定されていないと考えられ、①が最も不適切。

補足: 標準管理規約が賃貸借契約書の写し自体の提出まで義務付けているかについて、一次情報で確証を得られなかったため、断定を避けた。

令和7年度 問39公式過去問 / 民法/区分所有法

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 1. 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、その相続人のあることが明らかでないときは、管理組合は、家庭裁判所に対し相続財産の清算人の選任を請求することができる。

相続人のあることが明らかでないときは、利害関係人(滞納管理費を有する管理組合を含む)は家庭裁判所に対し相続財産の清算人の選任を請求することができる(民法952条1項)。

令和7年度 問41公式過去問 / 民法・借地借家法

Aが、自己所有の住戸をBに賃貸する場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. Bは、建物賃借権についての登記がなくても、Aから建物の引渡しを受けた場合には、その後に当該建物をAから買い受けた第三者に対して、建物賃借権を対抗することができる。

建物の賃借人は、賃借権の登記がなくても建物の引渡しを受けていれば、その後の譲受人に対して賃借権を対抗できる(借地借家法31条)。業務用の賃貸借にも借地借家法は適用され(①誤り)、定期建物賃貸借は公正証書に限らず書面(電磁的記録を含む)であれば足り(③誤り)、期間の定めのない賃貸借は「期間1年とみなす」規定はない(④誤り)。