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第13話(補講)

民法のきほん

33分07秒

この話の舞台

ひだまり船橋マンション(分譲マンション)|船橋市、駅徒歩12分|築45年(旧耐震)・RC造6階建て・24戸

登場人物と「誰が何を決めるか」 → 舞台設定の全体 →

到達目標と条件

目標1契約(申込みと承諾・成立・不履行・解除)と保証(連帯保証・極度額)の基本を、根拠をつけて言える。
場面扱い根拠
契約の成立申込みと承諾、書面不要民法522条
委任の報酬原則無償、特約が必要民法648条1項
請負の解除注文者はいつでも(損害賠償要)民法641条
双方無責の滅失報酬の履行拒絶可民法536条1項
軽微な不履行解除できない民法541条ただし書
金銭債務不履行不可抗力の抗弁不可民法419条3項
保証契約書面必須(電磁的記録含む)民法446条2項
連帯保証催告・検索の抗弁なし民法454条
個人の根保証極度額が必須民法465条の2

ひっかけ: 保証契約は口頭の合意では成立しない。書面(電磁的記録を含む)が必要(民法446条2・3項)。

くわしく(12項目)
  • 契約は、申込みと承諾の意思表示が合致すれば成立し、原則として書面等の方式は不要(民法522条)。
  • 委任は、当事者の一方が法律行為を委託し、相手方が承諾して成立する(民法643条)。受任者は特約がなければ報酬を請求できず(民法648条1項)、無償でも善良な管理者の注意義務を負う(民法644条)。
  • 受任者は、委任者の請求があればいつでも処理状況を報告する義務がある(民法645条)。委任は各当事者がいつでも解除できるが、相手方に不利な時期の解除は、やむを得ない事由がない限り損害賠償が必要(民法651条)。
  • 請負は仕事の完成と報酬支払を約して成立する(民法632条)。注文者はいつでも損害を賠償して解除できる(民法641条)。この解除権は注文者だけの権利で、請負人にはない。
  • 当事者双方の責めに帰さない事由で債務の履行ができなくなったときは、注文者(債権者)は反対給付(報酬)の履行を拒める=危険負担(民法536条1項)。
  • 債務不履行による解除は、原則、催告してから(民法541条本文)。ただし不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微なときは解除できない(民法541条ただし書)。履行不能など重大なときは無催告で直ちに解除できる(民法542条1項)。
  • 金銭債務の不履行は、不可抗力を抗弁にできない(民法419条3項)。損害賠償の証明も不要(民法419条2項)。
  • 保証人は、主たる債務者が履行しないときに履行する責任を負う(民法446条1項)。保証契約は、書面(電磁的記録を含む)でなければ効力を生じない(民法446条2・3項)。
  • 保証債務は、利息・違約金・損害賠償など主たる債務に従たる全てを包含する(民法447条1項)。
  • 単純な保証人には、催告の抗弁(民法452条)・検索の抗弁(民法453条)があるが、連帯保証人にはこれらの抗弁がない(民法454条)。
  • 個人が根保証(不特定の債務。賃貸借の保証など)の保証人になるときは、極度額を定めなければ効力を生じない(民法465条の2第1・2項)。
  • ひっかけ: 「請負人が解除できる」「催告なしで即解除できる」「保証契約は口頭でも成立」「連帯保証にも催告・検索の抗弁がある」は誤り。
目標2相続(相続人の順位・法定相続分・放棄・遺産分割前の共有)と時効(期間・完成猶予・更新)の基本を、根拠をつけて言える。
場面内容根拠
相続人の順位子→直系尊属→兄弟姉妹、配偶者は常に民法887条・民法889条・民法890条
法定相続分配偶者と子は各1/2民法900条一号
熟慮期間知った時から3か月民法915条1項
放棄の効果初めから相続人でなかったとみなす民法939条
放棄者の義務現に占有していれば保存義務が残る民法940条1項
遺産分割前共同相続人の共有民法898条1項
消滅時効知った時5年、行使可能時10年民法166条1項
催告6か月だけ完成猶予、再度の催告は無効民法150条
裁判上の請求確定すれば更新(ゼロから再進行)民法147条

ひっかけ: 相続放棄をしても、現に占有している財産の保存義務は残る(民法940条1項)。

くわしく(11項目)
  • 相続は死亡によって開始する(民法882条)。
  • 相続人の順位は、子(民法887条1項)→直系尊属→兄弟姉妹(民法889条1項)の順。配偶者は常にどの順位とも同順位で相続人になる(民法890条)。
  • 法定相続分は、配偶者と子なら各2分の1、配偶者と直系尊属なら配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1(民法900条各号)。
  • 相続の承認・放棄は、自己のために相続開始を知った時から3か月以内にする(民法915条1項、家庭裁判所で伸長可)。
  • 相続放棄をした者は、初めから相続人でなかったものとみなされる(民法939条)。ただし、放棄の時に相続財産を現に占有していた者は、相続人又は清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意で保存する義務が残る(民法940条1項)。
  • 共同相続財産は、遺産分割までの間、共同相続人の共有に属する(民法898条1項)。持分は民法900条から902条までの規定により算定した相続分による(民法898条2項)。遺産分割は、いつでも共同相続人の協議でできる(民法907条1項)。
  • 債権の消滅時効は、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条1項各号)。
  • 裁判上の請求等の事由がある場合、その事由が終了するまで時効は完成しない=完成猶予(民法147条1項)。確定すれば新たにゼロから進行する=更新(民法147条2項)。
  • 催告があったときは、その時から6か月を経過するまで時効は完成しない(民法150条1項)。ただし再度の催告に完成猶予の効力はない(民法150条2項)。
  • 承認があったときは、その時から新たにその進行を始める=更新(民法152条1項)。
  • ひっかけ: 「相続放棄した人はもう一切関係ない」「督促状を送り続ければ時効はどこまでも止まる」は誤り。
目標3漏水などの不法行為の賠償、代理(無権代理・表見代理)、意思表示(錯誤・詐欺・強迫)の基本を、根拠をつけて言える。
場面扱い根拠
不法行為故意・過失で権利侵害→賠償責任民法709条
工作物責任まず占有者、無過失なら所有者民法717条1項
過失相殺被害者の過失を考慮して減額民法722条2項
消滅時効知った時3年/不法行為時20年民法724条
無権代理本人の追認がなければ無効民法113条1項
催告権善意・悪意を問わず行使できる民法114条
無権代理人の責任履行又は損害賠償民法117条1項
表見代理代理権ありと信じる正当理由が要件民法109条・民法110条・民法112条
錯誤の取消し重要な錯誤、基礎事情は表示が要件民法95条1・2項
詐欺・強迫取消し可、強迫は第三者保護の限定なし民法96条

ひっかけ: 無権代理は、相手方の催告に本人が確答しなければ「追認拒絶」とみなされる(追認したとみなされるのではない)。

くわしく(13項目)
  • 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(民法709条)。
  • 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることで損害が生じたときは、まず占有者が賠償責任を負い、占有者が損害の発生防止に必要な注意をしていたときは所有者が負う(民法717条1項)。
  • 被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる=過失相殺(民法722条2項)。
  • 不法行為による損害賠償請求権は、被害者又は法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効消滅する(民法724条)。
  • 代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力を生じる(民法99条1項)。
  • 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない=無権代理(民法113条1項)。
  • 無権代理の相手方は、本人に対し相当の期間を定めて追認するか確答すべき旨の催告ができる。期間内に確答がなければ追認拒絶とみなす(民法114条)。この催告権に相手方の善意・悪意の要件はない。
  • 本人が追認しないときは、無権代理人自身が相手方の選択により履行又は損害賠償の責任を負う民法117条1項)。ただし相手方が悪意又は有過失(無権代理人が悪意の場合を除く)のとき、無権代理人が制限行為能力者のときは適用されない(民法117条2項)。
  • 代理権授与の表示(民法109条1項)・権限外の行為(民法110条)・代理権消滅後(民法112条1項)の3類型で、相手方に代理権があると信じる正当な理由があれば表見代理が成立し、本人が責任を負う。
  • 重要な錯誤(法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの)に基づく意思表示は取り消せる。基礎事情の錯誤は、その事情が表示されていたことが要件(民法95条1・2項)。表意者に重大な過失があるときは、原則として取消しできない(民法95条3項)。
  • 詐欺又は強迫による意思表示は取り消せる(民法96条1項)。第三者による詐欺は、相手方が悪意又は有過失のときに限り取り消せる(民法96条2項)。強迫にはこの限定はない。
  • 錯誤・詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗できない(民法95条4項・民法96条3項)。強迫による取消しにはこの制限はない。
  • ひっかけ: 「無権代理は名乗れば有効」「催告は善意の相手方しかできない」「強迫の取消しも善意無過失の第三者に対抗できない」は誤り。

覚える数字と条文

数字・条文内容
契約は申込みと承諾の意思表示の合致で成立し、書面は原則不要(民法522条)。委任は原則無償(民法648条1項)、請負の解除権は注文者だけ(民法641条)。
金銭債務の不履行は不可抗力を抗弁にできない(民法419条3項)。保証契約は書面が必要(民法446条2項)、連帯保証には催告・検索の抗弁がない(民法454条)、個人の根保証には極度額が必要(民法465条の2)。
相続人の順位は子→直系尊属→兄弟姉妹、配偶者は常に相続人(民法887条・民法889条・民法890条)。法定相続分は組み合わせで変わる(民法900条)。
相続放棄の熟慮期間は3か月(民法915条1項)。放棄すれば初めから相続人でなかったとみなされる(民法939条)が、現に占有していた財産の保存義務は残る(民法940条1項)。遺産分割前は共同相続人の共有(民法898条1項)。
工作物責任(漏水など)はまず占有者、占有者が無過失なら所有者(民法717条1項)。過失相殺(民法722条2項)と消滅時効(民法724条、3年・20年)にも注意。
消滅時効は知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条1項)。催告は6か月だけの完成猶予(民法150条)、裁判上の請求の確定や承認は時効を更新する(民法147条・民法152条)。
無権代理は本人の追認がなければ無効(民法113条1項)。相手方は善意・悪意を問わず催告でき(民法114条)、本人が追認しなければ無権代理人自身が責任を負う(民法117条1項)。代理権があると信じる正当理由があれば表見代理が成立する(民法109条・民法110条・民法112条)。
重要な錯誤・詐欺・強迫による意思表示は取り消せる(民法95条・民法96条)が、いずれも善意無過失の第三者には対抗できない(強迫を除く)。

実務の流れ→ 横にスクロール

1
手順1
清掃業者・設備業者との契約(申込みと承諾で成立、不履行は催告してから解除)
2
手順2
井上さんの賃貸と保証人(保証契約は書面が必要、連帯保証には抗弁がなく、極度額が要る)
3
手順3
空室の相続(相続人の順位・法定相続分、放棄は3か月以内、放棄後も保存義務)
4
手順4
漏水の賠償(工作物責任は占有者がまず負い、過失相殺と時効に注意)
5
手順5
時効(催告は完成猶予だけ、裁判上の請求と承認は更新)
6
手順6
代理(無権代理は追認がなければ無効、相手方は催告でき、無権代理人が責任を負う)
7
手順7
意思表示(重要な錯誤・詐欺・強迫は取り消せるが第三者保護に注意)
ひっかけ 10件
  • 「請負人が仕事の完成前に解除できる」→ 誤り。解除できるのは注文者(民法641条)。
  • 「双方に責任のない滅失は契約が無効になる」→ 誤り。注文者が反対給付を拒めるだけ(民法536条1項)。
  • 「保証契約は口頭の合意でも成立する」→ 誤り。書面(電磁的記録を含む)が必要(民法446条2項)。
  • 「連帯保証人にも催告・検索の抗弁がある」→ 誤り。抗弁があるのは単純な保証人だけ(民法454条)。
  • 「相続放棄をした人はもう一切関係ない」→ 誤り。現に占有している財産の保存義務は残る(民法940条1項)。
  • 「督促状を送り続ければ時効はどこまでも止まる」→ 誤り。催告は6か月だけ、再度の催告に効力はない(民法150条2項)。
  • 「無権代理でも、それらしく振る舞えば契約は成立する」→ 誤り。本人の追認がなければ効力を生じない(民法113条1項)。
  • 「無権代理の催告は、善意の相手方しかできない」→ 誤り。悪意の相手方も催告できる(民法114条)。
  • 「錯誤・詐欺・強迫の取消しは、どれも善意無過失の第三者に対抗できない」→ 誤り。強迫による取消しには、この制限はない(民法96条3項は詐欺のみ規定)。
  • 「工作物責任は所有者しか負わない」→ 誤り。まず占有者が負い、無過失なら所有者(民法717条1項)。

到達目標(教科書)

目標1契約(申込みと承諾・成立・不履行・解除)と保証(連帯保証・極度額)の基本を、根拠をつけて言える。

場面扱い根拠
契約の成立申込みと承諾、書面不要民法522条
委任の報酬原則無償、特約が必要民法648条1項
請負の解除注文者はいつでも(損害賠償要)民法641条
双方無責の滅失報酬の履行拒絶可民法536条1項
軽微な不履行解除できない民法541条ただし書
金銭債務不履行不可抗力の抗弁不可民法419条3項
保証契約書面必須(電磁的記録含む)民法446条2項
連帯保証催告・検索の抗弁なし民法454条
個人の根保証極度額が必須民法465条の2

ひっかけ: 保証契約は口頭の合意では成立しない。書面(電磁的記録を含む)が必要(民法446条2・3項)。

  • 契約は、申込みと承諾の意思表示が合致すれば成立し、原則として書面等の方式は不要(民法522条)。
  • 委任は、当事者の一方が法律行為を委託し、相手方が承諾して成立する(民法643条)。受任者は特約がなければ報酬を請求できず(民法648条1項)、無償でも善良な管理者の注意義務を負う(民法644条)。
  • 受任者は、委任者の請求があればいつでも処理状況を報告する義務がある(民法645条)。委任は各当事者がいつでも解除できるが、相手方に不利な時期の解除は、やむを得ない事由がない限り損害賠償が必要(民法651条)。
  • 請負は仕事の完成と報酬支払を約して成立する(民法632条)。注文者はいつでも損害を賠償して解除できる(民法641条)。この解除権は注文者だけの権利で、請負人にはない。
  • 当事者双方の責めに帰さない事由で債務の履行ができなくなったときは、注文者(債権者)は反対給付(報酬)の履行を拒める=危険負担(民法536条1項)。
  • 債務不履行による解除は、原則、催告してから(民法541条本文)。ただし不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微なときは解除できない(民法541条ただし書)。履行不能など重大なときは無催告で直ちに解除できる(民法542条1項)。
  • 金銭債務の不履行は、不可抗力を抗弁にできない(民法419条3項)。損害賠償の証明も不要(民法419条2項)。
  • 保証人は、主たる債務者が履行しないときに履行する責任を負う(民法446条1項)。保証契約は、書面(電磁的記録を含む)でなければ効力を生じない(民法446条2・3項)。
  • 保証債務は、利息・違約金・損害賠償など主たる債務に従たる全てを包含する(民法447条1項)。
  • 単純な保証人には、催告の抗弁(民法452条)・検索の抗弁(民法453条)があるが、連帯保証人にはこれらの抗弁がない(民法454条)。
  • 個人が根保証(不特定の債務。賃貸借の保証など)の保証人になるときは、極度額を定めなければ効力を生じない(民法465条の2第1・2項)。
  • ひっかけ: 「請負人が解除できる」「催告なしで即解除できる」「保証契約は口頭でも成立」「連帯保証にも催告・検索の抗弁がある」は誤り。

目標2相続(相続人の順位・法定相続分・放棄・遺産分割前の共有)と時効(期間・完成猶予・更新)の基本を、根拠をつけて言える。

場面内容根拠
相続人の順位子→直系尊属→兄弟姉妹、配偶者は常に民法887条・民法889条・民法890条
法定相続分配偶者と子は各1/2民法900条一号
熟慮期間知った時から3か月民法915条1項
放棄の効果初めから相続人でなかったとみなす民法939条
放棄者の義務現に占有していれば保存義務が残る民法940条1項
遺産分割前共同相続人の共有民法898条1項
消滅時効知った時5年、行使可能時10年民法166条1項
催告6か月だけ完成猶予、再度の催告は無効民法150条
裁判上の請求確定すれば更新(ゼロから再進行)民法147条

ひっかけ: 相続放棄をしても、現に占有している財産の保存義務は残る(民法940条1項)。

  • 相続は死亡によって開始する(民法882条)。
  • 相続人の順位は、子(民法887条1項)→直系尊属→兄弟姉妹(民法889条1項)の順。配偶者は常にどの順位とも同順位で相続人になる(民法890条)。
  • 法定相続分は、配偶者と子なら各2分の1、配偶者と直系尊属なら配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1(民法900条各号)。
  • 相続の承認・放棄は、自己のために相続開始を知った時から3か月以内にする(民法915条1項、家庭裁判所で伸長可)。
  • 相続放棄をした者は、初めから相続人でなかったものとみなされる(民法939条)。ただし、放棄の時に相続財産を現に占有していた者は、相続人又は清算人に引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意で保存する義務が残る(民法940条1項)。
  • 共同相続財産は、遺産分割までの間、共同相続人の共有に属する(民法898条1項)。持分は民法900条から902条までの規定により算定した相続分による(民法898条2項)。遺産分割は、いつでも共同相続人の協議でできる(民法907条1項)。
  • 債権の消滅時効は、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条1項各号)。
  • 裁判上の請求等の事由がある場合、その事由が終了するまで時効は完成しない=完成猶予(民法147条1項)。確定すれば新たにゼロから進行する=更新(民法147条2項)。
  • 催告があったときは、その時から6か月を経過するまで時効は完成しない(民法150条1項)。ただし再度の催告に完成猶予の効力はない(民法150条2項)。
  • 承認があったときは、その時から新たにその進行を始める=更新(民法152条1項)。
  • ひっかけ: 「相続放棄した人はもう一切関係ない」「督促状を送り続ければ時効はどこまでも止まる」は誤り。

目標3漏水などの不法行為の賠償、代理(無権代理・表見代理)、意思表示(錯誤・詐欺・強迫)の基本を、根拠をつけて言える。

場面扱い根拠
不法行為故意・過失で権利侵害→賠償責任民法709条
工作物責任まず占有者、無過失なら所有者民法717条1項
過失相殺被害者の過失を考慮して減額民法722条2項
消滅時効知った時3年/不法行為時20年民法724条
無権代理本人の追認がなければ無効民法113条1項
催告権善意・悪意を問わず行使できる民法114条
無権代理人の責任履行又は損害賠償民法117条1項
表見代理代理権ありと信じる正当理由が要件民法109条・民法110条・民法112条
錯誤の取消し重要な錯誤、基礎事情は表示が要件民法95条1・2項
詐欺・強迫取消し可、強迫は第三者保護の限定なし民法96条

ひっかけ: 無権代理は、相手方の催告に本人が確答しなければ「追認拒絶」とみなされる(追認したとみなされるのではない)。

  • 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(民法709条)。
  • 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることで損害が生じたときは、まず占有者が賠償責任を負い、占有者が損害の発生防止に必要な注意をしていたときは所有者が負う(民法717条1項)。
  • 被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償の額を定めることができる=過失相殺(民法722条2項)。
  • 不法行為による損害賠償請求権は、被害者又は法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効消滅する(民法724条)。
  • 代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力を生じる(民法99条1項)。
  • 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない=無権代理(民法113条1項)。
  • 無権代理の相手方は、本人に対し相当の期間を定めて追認するか確答すべき旨の催告ができる。期間内に確答がなければ追認拒絶とみなす(民法114条)。この催告権に相手方の善意・悪意の要件はない。
  • 本人が追認しないときは、無権代理人自身が相手方の選択により履行又は損害賠償の責任を負う民法117条1項)。ただし相手方が悪意又は有過失(無権代理人が悪意の場合を除く)のとき、無権代理人が制限行為能力者のときは適用されない(民法117条2項)。
  • 代理権授与の表示(民法109条1項)・権限外の行為(民法110条)・代理権消滅後(民法112条1項)の3類型で、相手方に代理権があると信じる正当な理由があれば表見代理が成立し、本人が責任を負う。
  • 重要な錯誤(法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの)に基づく意思表示は取り消せる。基礎事情の錯誤は、その事情が表示されていたことが要件(民法95条1・2項)。表意者に重大な過失があるときは、原則として取消しできない(民法95条3項)。
  • 詐欺又は強迫による意思表示は取り消せる(民法96条1項)。第三者による詐欺は、相手方が悪意又は有過失のときに限り取り消せる(民法96条2項)。強迫にはこの限定はない。
  • 錯誤・詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗できない(民法95条4項・民法96条3項)。強迫による取消しにはこの制限はない。
  • ひっかけ: 「無権代理は名乗れば有効」「催告は善意の相手方しかできない」「強迫の取消しも善意無過失の第三者に対抗できない」は誤り。

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自作 / Q33

代理人が、その権限内において本人のためにすることを示してした意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. その意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。

  • ① × 誤り。効力は本人に生じる。
  • ② ○ 正しい。代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる(民法99条1項)。
  • ③ × 誤り。有権代理では追認は不要(追認が必要なのは無権代理の場合)。
  • ④ × 誤り。効力は本人と相手方との間に生じる。
  • 条文: 民法99条1項「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(効力の帰属先を代理人自身にすり替える)。
  • まとめ: 有権代理の効果は直接本人に帰属する(民法99条1項)。追認が必要なのは無権代理。
自作 / Q15

清掃業者との間で、サービス内容と金額について、口頭でのやり取りだけで合意した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 申込みに対して相手方が承諾をした時点で、契約は成立する。

  • ① × 誤り。契約の成立に書面の作成その他の方式は不要(民法522条2項)。
  • ② ○ 正しい。契約は、申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立する(民法522条1項)。
  • ③ × 誤り。法令に特別の定めがある場合を除き、書面は不要。
  • ④ × 誤り。代金の一部支払(手付等)は契約成立の要件ではない。
  • 条文: 民法522条1項「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。」
  • 条文: 民法522条2項「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(「契約には書面が必要」という思い込み)。
  • まとめ: 契約は申込みと承諾の意思表示の合致で成立し、書面は原則不要(民法522条)。
自作 / Q37

重要な錯誤に基づく意思表示の取消しに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(基礎事情の錯誤)による取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限りすることができる。

  • ① × 誤り。取消しができるのは、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤に限る(民法95条1項)。
  • ② ○ 正しい。基礎事情の錯誤による取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限られる(民法95条2項)。
  • ③ × 誤り。表意者に重大な過失があるときは、原則として取消しをすることができない(民法95条3項本文)。
  • ④ × 誤り。錯誤による取消しは、善意でかつ過失がない第三者には対抗できない(民法95条4項)。「善意・悪意にかかわらず常に対抗できる」は誤り。
  • 条文: 民法95条1項「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。」
  • 条文: 民法95条2項「前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。」
  • 条文: 民法95条3項「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には…第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。」
  • 条文: 民法95条4項「第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。」
  • 引っかけ: 数字・要件の付け足し(善意無過失の第三者保護の限定を無視する)。
  • まとめ: 重要な錯誤は取消し可(民法95条1項)。基礎事情の錯誤は表示が要件、重過失は原則不可、善意無過失の第三者には対抗不可。
自作 / Q19

個人が、賃貸借契約の賃借人の保証人になる場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

  • ① × 誤り。保証契約は書面が必要(民法446条2項)。
  • ② ○ 正しい。保証契約は、書面でしなければその効力を生じない(民法446条2項)。
  • ③ × 誤り。保証契約は債権者と保証人との間の契約であり、保証人の意思表示が必要。
  • ④ × 誤り。電磁的記録による保証契約は、書面によるものとみなされる(民法446条3項)。
  • 条文: 民法446条2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」
  • 条文: 民法446条3項「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」
  • 引っかけ: 数字・要件の付け足し(電磁的記録は一切認められない、という誤り)。
  • まとめ: 保証契約は書面(電磁的記録を含む)が効力要件(民法446条2・3項)。
自作 / Q23

被相続人に配偶者と子2人がいる場合の法定相続分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 配偶者の相続分は2分の1、子2人はあわせて2分の1である。

  • ① × 誤り。配偶者3分の2・直系尊属3分の1となるのは、配偶者と直系尊属が相続人の場合(民法900条二号)。
  • ② ○ 正しい。配偶者と子が相続人であるときは、各2分の1(民法900条一号)。
  • ③ × 誤り。配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1となるのは、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合(民法900条三号)。
  • ④ × 誤り。子と配偶者が均等になるのは民法900条の定めと異なる。
  • 条文: 民法900条一号「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。」
  • 条文: 民法900条二号「配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。」
  • 条文: 民法900条三号「配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。」
  • 引っかけ: 数字のずらし(配偶者と直系尊属・兄弟姉妹の割合を、配偶者と子の場合に当てはめる)。
  • まとめ: 配偶者と子は各2分の1(民法900条一号)。組み合わせごとに割合が変わる点に注意。
過去問 / 令和5年度 問33 / Q8

団地内建物の建替え決議に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。 ア 団地内建物の建替え決議については、一括建替え決議をする場合でも、団地内の特定の建物のみを建て替える場合でも、いずれも、全ての建物が専有部分のある建物である必要はない。 イ 一括建替え決議は、団地内建物の敷地が、その団地内建物の区分所有者全員の共有になっている場合でなければならない。 ウ 団地管理組合の規約の定めにより、団地内の専有部分のある建物の管理を棟別の管理組合で行うことになっている場合には、その規約の定めを、団地管理組合の管理で行う旨に改正しない限り一括建替え決議はできない。 エ 団地内の特定の建物のみで建替え決議をする場合には、当該建物の建替え決議に加えて、団地管理組合の集会において、敷地共有者の数及び議決権の各4分の3以上の特別多数による建替え承認決議と、当該建替えによって特別の影響を受ける者の承諾が別途必要である。

正解: 2. 二つ

  • ア × 不適切。団地内の特定の建物のみを建て替える建替え承認決議(区分所有法69条1項)は建物の全部又は一部が専有部分のある建物であればよいが、団地内建物の一括建替え決議(区分所有法70条1項)は、団地内建物の全部が専有部分のある建物であることが要件。「いずれも全部である必要はない」は誤り。
  • イ ○ 適切。一括建替え決議は、団地内建物の敷地が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合であることが要件(区分所有法70条1項)。
  • ウ・エについては、条文(区分所有法69条・区分所有法70条)の要件は確認したが、選択肢の当てはめの細部(ウの「改正しない限りできない」という言い切り)まではe-Govの原文だけでは断定できず、公式解答(不適切は二つ)をそのまま採用する。
  • 条文: 区分所有法70条1項(抜粋)「団地内建物の全部が専有部分のある建物であり、かつ、当該団地内建物の敷地…が当該団地内建物の区分所有者の共有に属する場合において、当該団地内建物について第六十八条第一項…の規定により…規約が定められているときは…一括して…建替え決議をすることができる。」
  • 条文: 区分所有法69条1項(抜粋)「一団地内にある数棟の建物…の全部又は一部が専有部分のある建物であり…」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(一括建替え決議にだけ課される「全部が専有部分のある建物」という要件を、建替え承認決議にも当てはめない/当てはめる、を取り違える)。
  • まとめ: 一括建替え決議(区分所有法70条)は団地内建物の全部が専有部分のある建物であることが要件。ア〜エの細部は公式解答(不適切二つ)に準拠。

補足: ウ・エの当てはめ(規約改正の要否、承認決議の要件の細部)は、区分所有法69条・区分所有法70条の原文は確認したが、確定的な断定はできず、公式解答をそのまま採用した。

自作 / Q27

601号室の洗濯機のホースから漏水し、501号室に損害が生じた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

  • ① × 誤り。不法行為責任は故意又は過失を要件とする(過失責任の原則)。無過失でも常に責任を負うわけではない。
  • ② ○ 正しい。故意又は過失によって他人の権利等を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(民法709条)。
  • ③ × 誤り。工作物責任では、まず占有者が責任を負い、占有者が防止に必要な注意をしていれば所有者が負う(民法717条1項)。占有者が責任を負う場面はある。
  • ④ × 誤り。謝罪だけで損害賠償責任が当然に消滅する規定はない。
  • 条文: 民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(無過失でも常に責任、所有者だけが責任、という思い込み)。
  • まとめ: 不法行為は故意・過失が要件(民法709条)。工作物責任はまず占有者(民法717条1項)。
自作 / Q34

代理権を有しない者が、他人の代理人として契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。

  • ① × 誤り。本人が追認をしなければ本人に効力を生じない(民法113条1項)。
  • ② ○ 正しい。相手方の催告権(民法114条)。
  • ③ × 誤り。催告権に相手方の善意・悪意の要件はなく、悪意でも催告できる。
  • ④ × 誤り。期間内に確答がないときは、追認を「拒絶」したものとみなされる(追認したものとみなされるのではない)。
  • 条文: 民法113条1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」
  • 条文: 民法114条「相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。」
  • 引っかけ: 主語・結論の入れ替え(確答がない場合の効果を「追認」と「拒絶」で逆にする)。
  • まとめ: 無権代理は追認がなければ無効(民法113条)。催告に確答がなければ追認拒絶とみなす(民法114条)。
自作 / Q16

管理会社と管理組合との管理委託契約、及び組合と工事業者との工事請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 3. 請負人は、仕事が完成しない間であっても、注文者に対し損害を賠償して契約を解除することができる。

  • ① ○ 正しい。委任の定義そのもの(民法643条)。
  • ② ○ 正しい。請負の定義そのもの(民法632条)。
  • ③ × 誤り(これが正解)。仕事完成前にいつでも損害を賠償して解除できるのは注文者であり、請負人ではない(民法641条)。
  • ④ ○ 正しい。受任者は、報酬を受けるべき場合は委任事務を履行した後でなければ請求できない(民法648条2項)。
  • 条文: 民法643条「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」
  • 条文: 民法632条「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」
  • 条文: 民法641条「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」
  • 条文: 民法648条2項「受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(解除権を持つのは注文者なのに、請負人が持つかのようにすり替える)。
  • まとめ: 任意解除権は注文者だけの権利(民法641条)。委任・請負の定義と報酬の性質を対比して覚える。
自作 / Q38

詐欺又は強迫による意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 4. 強迫による意思表示の取消しは、相手方がその事実を知らず、かつ知ることができなかったときは、することができない。

  • ① ○ 正しい(民法96条1項)。
  • ② ○ 正しい(民法96条2項)。第三者による詐欺の場合、相手方の悪意・有過失が要件。
  • ③ ○ 正しい(民法96条3項)。
  • ④ × 誤り(これが正解)。強迫による取消しには、②のような相手方の悪意・有過失要件は課されていない(民法96条2項は「詐欺」の場合に限る規定であり、強迫には適用されない)。強迫の場合は、相手方の主観にかかわらず取消しができる。
  • 条文: 民法96条1項「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。」
  • 条文: 民法96条2項「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。」
  • 条文: 民法96条3項「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(詐欺だけに適用される第三者の主観要件を、強迫にも適用されるかのようにすり替える)。
  • まとめ: 詐欺・強迫はどちらも取消し可能。第三者による詐欺は相手方の悪意・有過失が要件だが、強迫にはこの限定はない。
自作 / Q20

賃貸借契約の賃借人について、単純な保証人と連帯保証人がいる場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 3. 連帯保証人も、単純な保証人と同様に、催告の抗弁及び検索の抗弁を行使できる。

  • ① ○ 正しい。催告の抗弁(民法452条)。
  • ② ○ 正しい。検索の抗弁(民法453条)。
  • ③ × 誤り(これが正解)。連帯保証人は、催告の抗弁・検索の抗弁のいずれも有しない(民法454条)。
  • ④ ○ 正しい。③の裏返しとして正しい内容。
  • 条文: 民法452条「債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。」
  • 条文: 民法453条「債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。」
  • 条文: 民法454条「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(単純保証と連帯保証の扱いを入れ替える)。
  • まとめ: 催告・検索の抗弁は単純保証人だけの権利。連帯保証人にはない(民法454条)。
自作 / Q24

相続の承認又は放棄に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 4. 相続の放棄は、家庭裁判所の許可を得れば、熟慮期間経過後であっても、単に気が変わったという理由で撤回することができる。

  • ① ○ 正しい(民法915条1項本文)。
  • ② ○ 正しい(民法915条1項ただし書)。
  • ③ ○ 正しい(民法939条)。
  • ④ × 誤り(これが正解)。相続の放棄は、家庭裁判所の許可を得ても、単に気が変わったという理由だけでは撤回することができない(民法919条1項)。詐欺・強迫等を理由とする限定的な取消し(民法919条2項)とは別の制度である。
  • 条文: 民法915条1項「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」
  • 条文: 民法939条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」
  • 条文: 民法919条1項「相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。」
  • 引っかけ: 数字・要件の付け足し(「家庭裁判所の許可」という存在しない撤回の抜け道を付け足す)。
  • まとめ: 熟慮期間は3か月(伸長可)。放棄すれば初めから相続人でなかったとみなされ、単に気が変わっただけでは撤回できない(民法919条1項)。
過去問 / 令和6年度 問37 / Q10

次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)、標準管理規約(団地型)及び標準管理規約(複合用途型)によれば、不適切なものはいくつあるか。ただし、「標準管理規約」とのみ記載の場合は、標準管理規約(単棟型)、標準管理規約(団地型)及び標準管理規約(複合用途型)を全て含むものとする。 ア 標準管理規約は、マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者及び団地建物所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的としている。 イ 標準管理規約は、管理組合が、各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として定めたものであり、特別な事情がない限りこれに準拠しなければならない。 ウ 標準管理規約(団地型)では、管理主体は団地建物所有者であり、共用部分と土地は、それぞれ団地共用部分と棟別共用部分、団地の土地と棟別敷地に区別され、団地と棟別の管理費等の収支については、それぞれ団地総会と棟総会によって議案が決議される。 エ 標準管理規約(複合用途型)では、住宅部会と店舗部会の管理組織が構成されるため、店舗部分の承継人は、元の区分所有者が滞納した店舗一部管理費と店舗一部修繕積立金のみを承継することになる。

正解: 3. 三つ

  • ア ○ 適切。標準管理規約は、共同の利益の増進、良好な住環境の確保を目的とする趣旨で定められている。
  • イ × 不適切。標準管理規約は、各マンションが規約を制定・変更する際の「参考」として国が示すものであり、法的に「準拠しなければならない」という拘束を課すものではない。
  • ウ × 不適切。標準管理規約(団地型)の敷地は、団地建物所有者全員の共有として一体的に扱われるのが基本構造であり、「団地の土地と棟別敷地に区別される」という記述は、団地型の位置付けと整合しない。
  • エ × 不適切。店舗部分の特定承継人は、区分所有法8条により、店舗一部管理費等に限らず前区分所有者が滞納した債務を承継するのが原則であり、「店舗一部管理費と店舗一部修繕積立金のみ」と限定するのは誤り。
  • 条文: 区分所有法8条「前条の債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(標準管理規約を「参考」ではなく「準拠義務」に格上げする)。
  • まとめ: 標準管理規約はあくまで「参考」。特定承継人はエの限定に反し、滞納債務を広く承継する(区分所有法8条)。

補足: ウ(団地型規約における「棟別敷地」の位置付け)の当てはめは、標準管理規約そのものの条文の原文取得ができておらず、断定は避けた。

自作 / Q28

洗濯機のホース(工作物)の設置又は保存に瑕疵があったことによって他人に損害が生じた場合の責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. その工作物の占有者が、損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、所有者が損害を賠償しなければならない。

  • ① × 誤り。占有者が防止に必要な注意をしていたときは、占有者は免責され、所有者が責任を負う。
  • ② ○ 正しい。占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、所有者が損害を賠償しなければならない(民法717条1項ただし書)。
  • ③ × 誤り。②のとおり、占有者が免責される場合は所有者が負う(無過失責任)。
  • ④ × 誤り。竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合にも、工作物責任の規定が準用される(民法717条2項)。
  • 条文: 民法717条1項「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」
  • 条文: 民法717条2項「前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(占有者が常に責任を負う、所有者は一切責任なし、という誤り)。
  • まとめ: 工作物責任はまず占有者、占有者が無過失なら所有者(民法717条1項)。竹木にも準用(民法717条2項)。
自作 / Q35

無権代理人の責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 3. 相手方が、代理人に代理権がないことを過失なく知らなかったときであっても、無権代理人は常に責任を免れる。

  • ① ○ 正しい。自己の代理権を証明したときは責任を負わない(民法117条1項かっこ書)。
  • ② ○ 正しい。本人の追認を得たときも責任を負わない(同上)。
  • ③ × 誤り(これが正解)。相手方が代理権のないことを過失なく知らなかった(善意無過失)ときは、無権代理人は責任を免れない。免れるのは、相手方が悪意、又は有過失(かつ無権代理人が自己に代理権がないことを知らなかった)場合等に限られる(民法117条2項)。
  • ④ ○ 正しい。無権代理人が行為能力の制限を受けていたときは、責任の規定は適用されない(民法117条2項三号)。
  • 条文: 民法117条1項「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。」
  • 条文: 民法117条2項三号「他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(善意無過失の相手方に対しても常に免責される、という誤り)。
  • まとめ: 無権代理人は原則責任を負うが、代理権証明・本人追認・相手方の悪意(重過失)・無権代理人の制限行為能力の場合は免れる(民法117条)。
自作 / Q36

表見代理に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 代理権授与の表示をした者は、その代理権の範囲内で他人が第三者との間でした行為について、第三者が代理権がないことを知り、又は過失によって知らなかったときを除き、責任を負う。

  • ① × 誤り。表見代理が成立すれば、本人が責任を負う。
  • ② ○ 正しい。代理権授与の表示による表見代理(民法109条1項)。
  • ③ × 誤り。代理権消滅後の表見代理は、代理権消滅の事実を知らなかった第三者に限り本人が責任を負う。第三者が過失によってその事実を知らなかったときは対象外(民法112条1項ただし書)。
  • ④ × 誤り。表見代理の趣旨は相手方保護であり、二重取りを認める規定ではない。
  • 条文: 民法109条1項「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。」
  • 条文: 民法112条1項「他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。」
  • 引っかけ: 数字・要件の付け足し(「善意・悪意を問わず常に」という存在しない無限定を付け足す)。
  • まとめ: 表見代理は相手方が善意無過失であることが要件。成立すれば本人が責任を負う(民法109条・民法110条・民法112条)。
自作 / Q17

設備業者に修繕工事を発注したところ、工事完成前に、当事者双方の責めに帰することができない災害により工事対象物が滅失し、工事完成が不可能になった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 1. 注文者は、業者に対する報酬の支払いを拒むことができる。

  • ① ○ 正しい。当事者双方の責めに帰することができない事由で債務の履行ができなくなったときは、債権者(注文者)は反対給付の履行を拒める(民法536条1項)。
  • ② × 誤り。①のとおり報酬の履行を拒める。
  • ③ × 誤り。業者側に損害賠償請求権を認める規定ではない。
  • ④ × 誤り。契約が当然に無効になるわけではなく、危険負担の問題として処理される。
  • 条文: 民法536条1項「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」
  • 引っかけ: 基準のすり替え(「滅失=契約無効」にすり替える)。
  • まとめ: 双方無責の履行不能は、契約が無効になるのではなく、注文者が反対給付(報酬)を拒める(民法536条1項)。
自作 / Q18

組合が業者に対して負う工事代金債務、及び業者が組合に対して有する工事代金債権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 工事代金債権に譲渡を禁止する特約があっても、当該債権の譲渡は原則として有効である。

  • ① × 誤り。金銭債務の不履行は不可抗力を抗弁にできない(民法419条3項)。
  • ② ○ 正しい。譲渡制限の意思表示をしても、債権の譲渡は効力を妨げられない(民法466条2項)。
  • ③ × 誤り。金銭債務の損害賠償は、債権者は損害の証明を要しない(民法419条2項)。
  • ④ × 誤り。譲渡制限特約を知らず、かつ重大な過失もない譲受人は保護される。
  • 条文: 民法419条3項「第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」
  • 条文: 民法466条2項「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」
  • 条文: 民法419条2項「前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。」
  • 引っかけ: 数字・要件の付け足し(「損害の証明が必要」という存在しない要件を付け足す)。
  • まとめ: 金銭債務は不可抗力の抗弁不可・損害の証明不要(民法419条)。譲渡制限特約があっても譲渡自体は有効(民法466条2項)。
自作 / Q21

個人が、賃貸借契約から生じる賃借人の一切の債務を保証する根保証契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 極度額を定めなければ、個人根保証契約はその効力を生じない。

  • ① × 誤り。極度額の定めは効力要件。
  • ② ○ 正しい。個人根保証契約は、極度額を定めなければその効力を生じない(民法465条の2第2項)。
  • ③ × 誤り。極度額の定めにも書面(電磁的記録を含む)が必要(民法465条の2第3項が民法446条2・3項を準用)。
  • ④ × 誤り。極度額の規制は「保証人が法人でないもの」(個人根保証契約)が対象(民法465条の2第1項)。
  • 条文: 民法465条の2第1項「…保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は…その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。」
  • 条文: 民法465条の2第2項「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(規制対象を「法人」にすり替える)。
  • まとめ: 個人根保証は極度額を定めないと無効(民法465条の2)。対象は保証人が個人の場合。
自作 / Q22

被相続人に配偶者と子がいる場合の相続人に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 被相続人の子は、相続人となる。

  • ① × 誤り。配偶者は常に相続人となる(民法890条)。
  • ② ○ 正しい。被相続人の子は相続人となる(民法887条1項)。
  • ③ × 誤り。直系尊属が相続人となるのは、民法887条により相続人となるべき子がいない場合に限る(民法889条1項一号)。
  • ④ × 誤り。兄弟姉妹が相続人となるかは配偶者の有無ではなく、子・直系尊属がいるかで決まる(民法889条1項二号)。
  • 条文: 民法887条1項「被相続人の子は、相続人となる。」
  • 条文: 民法890条「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」
  • 条文: 民法889条1項「次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。一 被相続人の直系尊属…二 被相続人の兄弟姉妹」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(配偶者と血族相続人の順位を混同させる)。
  • まとめ: 配偶者は常に相続人。子→直系尊属→兄弟姉妹の順で、上位の者がいれば下位は相続人にならない。
自作 / Q25

被相続人の死亡により、配偶者と子2人が相続人となった場合の、遺産分割前の相続財産に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 相続財産は、遺産分割が終わるまでの間、共同相続人の共有に属する。

  • ① × 誤り。無主物になるのではなく、共同相続人の共有に属する。
  • ② ○ 正しい。相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属する(民法898条1項)。
  • ③ × 誤り。遺産の分割は、いつでも共同相続人の協議ですることができる(民法907条1項)。3か月の期間制限はない(3か月は承認・放棄の熟慮期間の話)。
  • ④ × 誤り。共有物として扱われ、持分は法定相続分等により算定した割合による(民法898条2項)。「当然に異なる割合で分割される」わけではない。
  • 条文: 民法898条1項「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」
  • 条文: 民法907条1項「共同相続人は…いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。」
  • 引っかけ: 数字のずらし(熟慮期間の3か月を、遺産分割の可否に混同させる)。
  • まとめ: 遺産分割前の相続財産は共同相続人の共有(民法898条1項)。分割協議はいつでもできる(民法907条1項)。
自作 / Q26

被相続人に配偶者はいるが子がおらず、被相続人の父母は健在で、兄も存命である場合の相続人に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 3. 配偶者と父母が相続人となり、兄は相続人とならない。

  • ① × 誤り。直系尊属(父母)がいる場合、兄弟姉妹は相続人にならない(第3順位は直系尊属がいない場合に限る)。
  • ② × 誤り。父母(直系尊属)がいるので、兄(兄弟姉妹)は相続人にならない。
  • ③ ○ 正しい。配偶者は常に相続人(民法890条)。子がいないので第2順位の直系尊属(父母)が相続人となる(民法889条1項一号)。兄弟姉妹は直系尊属がいるため相続人にならない。
  • ④ × 誤り。配偶者は常に相続人となる(民法890条)。
  • 条文: 民法889条1項一号「被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。」
  • 条文: 民法890条「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(直系尊属がいるのに兄弟姉妹も同順位にする)。
  • まとめ: 子→直系尊属→兄弟姉妹の順。上位者がいれば下位者は相続人にならない。配偶者は常に同順位。
過去問 / 令和4年度 問1 / Q1

委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

  • ① × 誤り。選択肢は「請求があっても報告義務はない」だが、実際は委任者の請求があればいつでも処理状況を報告する義務がある(民法645条)。
  • ② ○ 正しい。受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない(民法648条1項)。
  • ③ × 誤り。委任者はいつでも委任を解除できる(民法651条1項)。相手方に不利な時期の解除は、やむを得ない事由がない限り損害賠償が必要なだけで、解除自体が制限されるわけではない(民法651条2項一号)。
  • ④ × 誤り。履行の中途で委任が終了したときは、既にした履行の割合に応じた報酬を請求できる(民法648条3項二号)。
  • 条文: 民法645条「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。」
  • 条文: 民法648条1項「受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。」
  • 条文: 民法651条1項「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(委任は無償が原則という基本を、他の選択肢の細部の誤りで惑わす)。
  • まとめ: 委任は原則無償、報酬は特約が必要(民法648条1項)。報告義務・解除・中途終了の報酬もあわせて押さえる。
過去問 / 令和6年度 問42 / Q11

次の記述のうち、不動産登記法によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 1. 登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成され、権利部は、甲区及び乙区に区分され、抵当権に関する登記事項は甲区に記録される。

  • ① × 誤り(これが正解)。抵当権に関する登記事項は、所有権以外の権利に関する事項として乙区に記録される(不動産登記規則4条4項)。権利部は甲区(所有権)・乙区(所有権以外)に区分される(不動産登記法12条)。
  • ② ○ 正しい。権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない(不動産登記法60条)。
  • ③ ○ 正しい。区分建物が属する一棟の建物が新築された場合の表題登記の申請は、他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない(不動産登記法48条1項)。
  • ④ ○ 正しい。区分建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出する(不動産登記規則115条)。
  • 条文: 不動産登記法12条「登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成する。」
  • 条文: 不動産登記規則4条4項「権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。」
  • 条文: 不動産登記法60条「権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。」
  • 条文: 不動産登記法48条1項「区分建物が属する一棟の建物が新築された場合…における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物…に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。」
  • 条文: 不動産登記規則115条「建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により…」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(抵当権を甲区ではなく乙区に記録すべきところを取り違えさせる)。
  • まとめ: 権利部は甲区(所有権)・乙区(所有権以外)に区分される。抵当権は乙区(不動産登記規則4条4項)。
過去問 / 令和7年度 問1 / Q12

次の事例のうち、民法の規定によれば、善良な管理者としての注意義務まで求められないものはどれか。

正解: 4. Aが、同居していたAの父Bが生前所有していた家屋甲にBの死亡後も継続居住しているが相続は放棄している。この場合における、相続人又は相続財産の清算人に引き渡すまでのAの甲についての注意義務。

  • ① × 誤り。事務管理者は、最も本人の利益に適合する方法で管理する義務を負う(民法697条1項)。善良な管理者の注意に相当する高い注意義務。
  • ② × 誤り。留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有しなければならない(民法298条1項)。
  • ③ × 誤り。受任者は、無償の委任でも善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う(民法644条)。有償・無償で注意義務の程度は変わらない。
  • ④ ○ 正しい。相続放棄をした者は、現に占有している相続財産を引き渡すまで、自己の財産におけるのと同一の注意で足りる(民法940条1項)。善良な管理者の注意までは求められない。
  • 条文: 民法697条1項「義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない。」
  • 条文: 民法298条1項「留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。」
  • 条文: 民法644条「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」
  • 条文: 民法940条1項「相続の放棄をした者は、放棄の時に現に占有している相続財産を、引き渡すまでの間…自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならない。」
  • 引っかけ: 基準のすり替え(「無償だから注意義務が軽い」という思い込みを当てはめさせる)。
  • まとめ: 善管注意義務が原則。相続放棄後の占有者だけは、自己の財産と同一の注意で足りる例外(民法940条1項)。
過去問 / 令和7年度 問2 / Q13

委任契約と寄託契約との異同に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 受任者も受寄者も、契約の相手方の許諾(承諾)を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、第三者に当該契約を履行させることはできない。

  • ① × 誤り。委任は諾成契約(民法643条)。寄託契約も現行民法では、当事者の合意のみで成立する諾成契約であり、要物契約ではない(民法657条)。
  • ② ○ 正しい。受任者は委任者の許諾又はやむを得ない事由がなければ復受任者を選任できず(民法644条の2第1項)、受寄者も寄託者の承諾又はやむを得ない事由がなければ第三者に保管させることができない(民法658条2項)。
  • ③ × 誤り。委任は有償・無償を問わず、受任者は善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負う(民法644条)。有償か無償かで注意義務の程度が変わるものではない。
  • ④ × 誤り。寄託の解除は、寄託者はいつでも可能な一方、無報酬の受寄者は書面による寄託では解除できない等の制限がある(民法657条の2)。「いつでも損害を賠償すれば解除できる」と一律には言えない。
  • 条文: 民法643条「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」
  • 条文: 民法657条「寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。」
  • 条文: 民法644条の2第1項「受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。」
  • 条文: 民法658条2項「受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。」
  • 条文: 民法644条「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(寄託は要物契約、有償無償で注意義務が変わる、という誤った思い込み)。
  • まとめ: 委任・寄託はどちらも諾成契約。復委任・再寄託はどちらも許諾又はやむを得ない事由が必要(民法644条の2・民法658条2項)。
過去問 / 令和7年度 問3 / Q14

1から4までのうち、Aと建設会社Bとの間で建物甲の建築工事の請負契約が締結された場合に関し、民法の規定によれば、適切な記述のみを全て含むものはどれか。 ア Bは、甲が完成しない間は、Aに損害を賠償して当該契約を解除することができる。 イ 建築中の甲の所有権の帰属は、原則として、材料の所有者によって定まる。 ウ 落雷による森林火災が原因で建築中の甲が焼失し、完成が不能となってしまった場合には、Aは、Bの報酬請求を拒むことができる。

正解: 3. イ・ウ

  • ア × 不適切。選択肢は「請負人Bが解除できる」だが、実際は注文者Aがいつでも損害を賠償して解除できる(民法641条)。解除権を持つのは注文者であり、請負人ではない。
  • イ ○ 適切。建築中の建物の所有権は、判例上、原則として材料を提供した者に帰属すると解されている(明文の条文はなく判例・学説による)。
  • ウ ○ 適切。当事者双方の責めに帰することができない事由(落雷)で完成が不能となったときは、注文者は反対給付(報酬)の履行を拒むことができる(民法536条1項)。
  • 条文: 民法641条「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。」
  • 条文: 民法536条1項「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(解除権を持つのは注文者なのに、請負人が持つかのようにすり替える)。
  • まとめ: 任意解除権は注文者だけの権利(民法641条)。双方無責の滅失は報酬を拒める(民法536条1項)。建築中建物の所有権は条文でなく判例の考え方。
過去問 / 令和4年度 問4 / Q2

甲土地を所有するAが、B銀行から融資を受けるに当たり、甲土地にBのために抵当権を設定した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。ただし、甲土地には、Bの抵当権以外の担保権は設定されていないものとする。

正解: 2. 抵当権設定当時、甲土地が更地であった場合、当該抵当権の実行手続により買い受けたCから甲土地の明渡しが求められたときには、Aは、その請求に応じなければならない。

  • ① × 誤り。抵当権の効力は、抵当地の上に存する建物を除き、付加一体物に及ぶ(民法370条)。土地上の建物には及ばない。
  • ② ○ 正しい。設定当時に土地が更地であれば法定地上権は成立しない(民法388条は土地建物が同一所有者に属し建物が存在することが前提)。よって買受人Cからの明渡し請求にAは応じなければならない。
  • ③ × 誤り。抵当権者は利息等につき満期の最後の2年分のみ抵当権を行使できるのが原則だが、別段の登記で担保範囲を拡張できる(民法375条1項)。「担保されない」と言い切るのは誤り。
  • ④ × 誤り。抵当権は付従性により、被担保債権が存在する限り、単独で時効消滅することはない。
  • 条文: 民法370条「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。」
  • 条文: 民法388条「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。」
  • 条文: 民法375条1項「抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(「建物にも効力が及ぶ」「利息は一切担保されない」と言い切る)。
  • まとめ: 更地に設定された抵当権は建物に及ばず、法定地上権も成立しない。買受人は土地の明渡しを求められる。
過去問 / 令和4年度 問35 / Q3

借地上のマンションに関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 3. 区分所有者の一人が借地契約を解除された場合には、当該区分所有者は、敷地利用権を有しない区分所有者となる。

  • ① × 誤り。区分所有者ごとの借地契約は、原則としてそれぞれ独立した契約であり、当然に一つの契約を準共有する関係にあるとはいえない。
  • ② × 誤り。借地料は各区分所有者が自己の契約に基づき支払う義務を負うにとどまり、他の区分所有者に連帯して請求できる根拠はない。
  • ③ ○ 正しい。区分所有者の一人が借地契約を解除されれば、その者は敷地利用権を有しない区分所有者となる。
  • ④ × 誤り。売渡請求権(区分所有法10条)は、敷地利用権を有する他の区分所有者が、敷地利用権を有しない区分所有者に対して行使できるものであり、土地所有者に対して行使できるものではない。
  • 条文: 区分所有法10条「敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(売渡請求権の行使者・相手方を取り違えさせる)。
  • まとめ: 敷地利用権を失った区分所有者には、他の区分所有者から売渡請求ができる(区分所有法10条)。土地所有者は当事者ではない。

補足: ①②の借地契約の法的性質そのものについては、e-Govで確認できる明文の条文がなく、一般的な理解に基づく整理。

過去問 / 令和5年度 問2 / Q4

制限行為能力者であるAは、甲マンションの一住戸を所有し、同住戸に居住している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 2. Aが成年被後見人である場合は、Aは、あらかじめその後見人の同意を得ることにより、第三者との間で、当該住戸のリフォーム工事に係る契約を有効に締結することができる。

  • ① ○ 正しい。成年後見人が成年被後見人に代わって居住用不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要(民法859条の3)。
  • ② × 誤り(これが正解)。成年被後見人の法律行為は、日用品の購入等日常生活に関する行為を除き、後見人の同意があっても取り消すことができる(民法9条)。「同意を得れば有効」というのは誤り。
  • ③ ○ 正しい。家庭裁判所は、本人の請求により、特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる(民法876条の4第1項)。
  • ④ ○ 正しい。本人以外の者の請求によって補助人の同意を要する旨の審判をするには、本人の同意が必要(民法17条2項)。
  • 条文: 民法859条の3「成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。」
  • 条文: 民法9条「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」
  • 条文: 民法876条の4第2項「本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。」
  • 条文: 民法17条2項「本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(「後見人の同意があれば有効」という、成年被後見人には認められない救済を混ぜる)。
  • まとめ: 成年被後見人は後見人の同意があっても取り消せる(民法9条)。保佐・補助では本人以外の請求に本人の同意が要る(民法876条の4・民法17条)。
過去問 / 令和5年度 問3 / Q5

Aが、代理権を有しないにもかかわらず、Bの代理人と称して、Cとの間でB所有のマンションの一住戸の売買契約(以下、本問において「本件売買契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。ただし、Aは制限行為能力者ではないものとする。

正解: 2. 本件売買契約が締結されたときに、CがAに代理権がないことを知っていた場合は、Cは、Bに対して、追認をするかどうかを確答すべき旨を催告することができない。

  • ① ○ 適切。無権代理行為は、本人が追認すれば有効になる(民法113条1項)。
  • ② × 不適切(これが正解)。選択肢は「知っていた場合は催告できない」だが、催告権(民法114条)に相手方の善意・悪意の要件はなく、悪意の相手方も催告できる。
  • ③ ○ 適切。相当の期間内に確答がないときは、追認を拒絶したものとみなす(民法114条後段)。
  • ④ ○ 適切。本人が追認を拒絶したときは、無権代理人は相手方の選択により履行または損害賠償の責任を負う(民法117条1項)。
  • 条文: 民法113条1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」
  • 条文: 民法114条「相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて追認をするか確答すべき旨の催告をすることができる。期間内に確答がないときは、追認を拒絶したものとみなす。」
  • 条文: 民法117条1項「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。」
  • 引っかけ: 主語・要件の付け足し(催告権に「善意であること」という存在しない要件を付け足す)。
  • まとめ: 無権代理の相手方の催告権(民法114条)に善意・悪意の区別はない。追認がなければ無権代理人自身が責任を負う(民法117条)。
過去問 / 令和5年度 問4 / Q6

管理組合法人Aと施工会社Bとのマンションの外壁補修工事請負契約における工事代金に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 4. AのBに対する請負代金の支払期日の前日に、地震で管理事務室が損壊したため、Aが支払期日にその代金を支払うことができなかった場合でも、Aは、Bに対する債務不履行責任を免れない。

  • ① × 誤り。選択肢は「過払い分の返還請求はできない」だが、実際は法律上の原因のない利得として返還請求できる(民法703条)。Aは支払時に契約額を超えることを知らなかったので、非債弁済(民法705条、知っていた場合のみ返還請求できない)にもあたらない。
  • ② × 誤り。譲渡制限特約があっても、債権譲渡そのものは有効(民法466条2項)。
  • ③ × 誤り。保証契約は書面(電磁的記録を含む)でなければ効力を生じない(民法446条2・3項)。口頭の合意だけでは成立しない。
  • ④ ○ 正しい。金銭債務の不履行は不可抗力を抗弁にできない(民法419条3項)。地震で支払えなくても債務不履行責任を免れない。
  • 条文: 民法703条「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」
  • 条文: 民法705条「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」
  • 条文: 民法466条2項「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」
  • 条文: 民法446条2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」
  • 条文: 民法419条3項「第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」
  • 引っかけ: 基準のすり替え(「金銭債務は不可抗力でも免責されない」という原則を、他の選択肢の一般論と混同させる)。
  • まとめ: 金銭債務の不履行は不可抗力の抗弁ができない(民法419条3項)。過払い金・譲渡制限特約・保証契約の扱いもあわせて押さえる。
過去問 / 令和5年度 問29 / Q7

甲マンションの住戸101号室をA、B、Cの3人が共有し、住戸102号室を所有者に無断でDが占有している場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び判例によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 4. 102号室について、Dは、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定される。

  • ① × 誤り。5年を超えない期間内の不分割特約がある場合、共有者はその期間内は分割を請求できない(民法256条1項ただし書)。
  • ② × 誤り。共有物分割の協議が調わないときは、裁判所は現物分割・賠償分割・競売による分割のいずれも選択でき、現物分割に限定されない。
  • ③ × 誤り。共用部分の共有持分のみを時効取得できないとする限定はなく、専有部分と併せて取得時効が問題となり得る。
  • ④ ○ 正しい。占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ公然と占有するものと推定される(民法186条1項)。この推定は無権原の占有者にも及ぶ。
  • 条文: 民法186条1項「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。」
  • 条文: 民法256条1項「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(分割方法を「現物分割のみ」に限定する誤り)。
  • まとめ: 占有には所有の意思・善意・平穏・公然が推定される(民法186条1項)。不分割特約や分割方法の限定に注意。
過去問 / 令和6年度 問1 / Q9

共有に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 1. 裁判所は、共有者やその所在が不明な共有建物について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、管理不全建物管理人による管理を命ずる処分をすることができる。

  • 本問は公益社団法人が正解を「1・4」の複数(不備問題)として公表している。ここでは選択肢1を主たる正解として扱う。
  • ① × 不適切(主たる正解)。所有者やその所在が不明な共有建物に必要なのは、所有者不明建物管理人による管理(民法264条の8)。管理不全建物管理人(民法264条の14)は、所有者が判明していても管理が不適当な場合の別制度であり、選択肢は制度名を取り違えている。
  • ② ○ 適切な内容(共有者の持分取得)。
  • ③ ○ 適切な内容(分割された共有物の担保責任)。
  • ④ △ 相続財産に属する共有物・持分は、遺産分割前は原則として民法258条の分割ができないが、相続開始の時から10年を経過すれば分割できるようになる(民法258条の2第2項)。選択肢はこの「10年経過後にできるようになる」規定を「10年経過しなければできない」という言い方で示しており、実質は正しい規定の言い換えだが、遺産分割の請求があり異議が申し出られた場合の例外(同項ただし書)に触れていない点が問題視され、公式には④も不適切側の複数正解として扱われている。
  • 条文: 民法264条の8第1項「裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物…について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により…所有者不明建物管理人による管理を命ずる処分…をすることができる。」
  • 条文: 民法264条の14第1項「裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において…管理不全建物管理人による管理を命ずる処分…をすることができる。」
  • 条文: 民法258条の2第2項「共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず…分割をすることができる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において…異議の申出をしたときは、この限りでない。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(「所有者不明」の場面に「管理不全」建物管理人を当てはめる)。
  • まとめ: 所有者が分からない・連絡が取れない場合は所有者不明建物管理人(民法264条の8)、所有者は分かるが管理が不適当な場合は管理不全建物管理人(民法264条の14)。本問は公式に複数正解(1・4)とされている不備問題のため、サイトの採点では1を正解として扱う。

補足: 公益財団法人マンション管理センター等の公式発表で、本問は正解が「1及び4」の複数(出題ミス)として扱われている。サイトの4択UIは単一正解のみ表示できる仕様のため、answerは1(主たる不適切)とし、4も不適切側であることは解説とnoteで明記した。

自作 / Q30

管理費の滞納債権(金銭債権)の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 1. 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。

  • ① ○ 正しい。債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないときは時効消滅する(民法166条1項一号)。
  • ② × 誤り。権利を行使できる時からの期間は10年である(民法166条1項二号)。30年ではない。
  • ③ × 誤り。時効期間は法定されており、当事者の合意で自由に定められるものではない。
  • ④ × 誤り。金銭債権も他の債権と同様、消滅時効にかかる。
  • 条文: 民法166条1項「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」
  • 引っかけ: 数字のずらし(10年を30年にすり替える)。
  • まとめ: 債権の消滅時効は、知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条1項)。
自作 / Q31

滞納管理費について、組合が支払督促の申立てをした場合の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 裁判上の請求等の事由が終了するまでの間は、時効は完成しない。

  • ① × 誤り。支払督促は裁判上の請求等に準じ、完成猶予・更新の効力が生じ得る。
  • ② ○ 正しい。裁判上の請求等の事由がある場合、その事由が終了するまでの間は時効は完成しない(民法147条1項)。
  • ③ × 誤り。催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、完成猶予の効力を有しない(民法150条2項)。
  • ④ × 誤り。権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める=時効は更新される(民法152条1項)。
  • 条文: 民法147条1項「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する…までの間は、時効は、完成しない。一 裁判上の請求 二 支払督促…」
  • 条文: 民法150条2項「催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。」
  • 条文: 民法152条1項「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(催告を繰り返せば何度でも延びる、という誤り)。
  • まとめ: 裁判上の請求等は完成猶予(民法147条)。催告の繰り返しは効力なし(民法150条2項)。承認は更新(民法152条1項)。
自作 / Q32

時効の「完成猶予」と「更新」の違いに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 3. 催告による完成猶予は、催告の時から6か月を経過するまでの間、時効の完成を妨げる制度である。

  • ① × 誤り。ゼロからやり直しになるのは「更新」であり、「完成猶予」ではない。
  • ② × 誤り。①と逆で、一定期間だけ完成を先延ばしにするのは「完成猶予」である。
  • ③ ○ 正しい。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は時効は完成しない(民法150条1項)。
  • ④ × 誤り。確定判決等によって権利が確定したときは、時効は同項各号の事由が終了した時から新たにその進行を始める(民法147条2項)。
  • 条文: 民法150条1項「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」
  • 条文: 民法147条2項「前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。」
  • 引っかけ: 主語の入れ替え(完成猶予と更新の効果を入れ替える)。
  • まとめ: 完成猶予=一時停止、更新=ゼロから再スタート。催告は完成猶予だけ(民法150条)、確定判決は更新(民法147条2項)。
自作 / Q29

漏水による損害賠償請求に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 3. 不法行為による損害賠償の請求権は、不法行為の時から20年を経過しても消滅することはない。

  • ① ○ 正しい。過失相殺(民法722条2項)。
  • ② ○ 正しい。主観的起算点からの3年の消滅時効(民法724条一号)。
  • ③ × 誤り(これが正解)。不法行為の時から20年を経過したときも、時効によって消滅する(民法724条二号)。「消滅することはない」が誤り。
  • ④ ○ 正しい。過失相殺の考慮対象には、被害の拡大を防げなかった事情も含まれ得る。
  • 条文: 民法724条二号「不法行為の時から二十年間行使しないとき。」(時効によって消滅する)
  • 条文: 民法722条2項「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」
  • 引っかけ: 原則と例外の入れ替え(20年で消滅しないと言い切る)。
  • まとめ: 不法行為の賠償請求権は3年(主観)・20年(客観)で時効消滅する(民法724条)。過失相殺もあわせて押さえる。
公式過去問 / 民法 / 令和4年度 問1

委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

民法648条1項により、受任者は特約がなければ委任者に報酬を請求できない(委任は無償が原則)。選択肢1は645条(請求があれば報告義務あり)、3は651条(不利な時期でも解除自体は可能で損害賠償の問題にとどまる)、4は648条3項(履行割合に応じた報酬請求は可能)にそれぞれ反する。

公式過去問 / 民法 / 令和4年度 問4

甲土地を所有するAが、B銀行から融資を受けるに当たり、甲土地にBのために抵当権を設定した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。ただし、甲土地には、Bの抵当権以外の担保権は設定されていないものとする。

正解: 2. 抵当権設定当時、甲土地が更地であった場合、当該抵当権の実行手続により買い受けたCから甲土地の明渡しが求められたときには、Aは、その請求に応じなければならない。

抵当権設定当時に建物が存在しない更地であった場合は法定地上権(民法388条)が成立しないため、抵当権実行による買受人Cからの明渡し請求にAは応じなければならない(選択肢2が正解)。1は付合物・付加一体物の理解、3は利息の担保範囲(375条、原則として満期後2年分だが別段の合意で担保範囲を定められる。「担保されない」は誤り)、4は付従性(抵当権は被担保債権と別に単独では時効消滅しない)の理解として、それぞれ誤り。

公式過去問 / 民法/区分所有法 / 令和4年度 問35

借地上のマンションに関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 3. 区分所有者の一人が借地契約を解除された場合には、当該区分所有者は、敷地利用権を有しない区分所有者となる。

区分所有法10条の売渡請求権は、敷地利用権を有しない区分所有者に対し、敷地利用権を有する「他の区分所有者」が行使できるものであり、土地所有者に対して行使できるものではない(選択肢4は誤り)。借地契約の解除により敷地利用権を失うのはその区分所有者に限られ、他の区分所有者の敷地利用権には影響しないと解されるため、選択肢3が正解。

補足: 区分所有法10条の売渡請求権の当事者関係、及び複数区分所有者が土地所有者と結ぶ借地契約相互の法的性質について、一次情報での逐語確認ができておらず、一般的な理解に基づく判断である。

公式過去問 / 民法 / 令和5年度 問2

制限行為能力者であるAは、甲マンションの一住戸を所有し、同住戸に居住している。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 2. Aが成年被後見人である場合は、Aは、あらかじめその後見人の同意を得ることにより、第三者との間で、当該住戸のリフォーム工事に係る契約を有効に締結することができる。

成年被後見人は日用品の購入等日常生活行為以外の法律行為は、後見人の同意を得ていても取り消すことができる(民法9条・120条)ため、同意を得て有効に契約を締結できるとする記述は誤り。後見人による居住用不動産処分には家裁許可が必要(859条の3)。

公式過去問 / 民法 / 令和5年度 問3

Aが、代理権を有しないにもかかわらず、Bの代理人と称して、Cとの間でB所有のマンションの一住戸の売買契約(以下、本問において「本件売買契約」という。)を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。ただし、Aは制限行為能力者ではないものとする。

正解: 2. 本件売買契約が締結されたときに、CがAに代理権がないことを知っていた場合は、Cは、Bに対して、追認をするかどうかを確答すべき旨を催告することができない。

無権代理の相手方の催告権(民法114条)には相手方の善意・悪意の要件はなく、代理権がないことを知っていた(悪意の)相手方も催告できる。よって「知っていた場合は催告できない」とする記述が誤り。

公式過去問 / 民法 / 令和5年度 問4

管理組合法人Aと施工会社Bとのマンションの外壁補修工事請負契約における工事代金に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 4. AのBに対する請負代金の支払期日の前日に、地震で管理事務室が損壊したため、Aが支払期日にその代金を支払うことができなかった場合でも、Aは、Bに対する債務不履行責任を免れない。

金銭債務の不履行については不可抗力を抗弁にできない(民法419条3項)ため、地震で支払えなくても債務不履行責任は免れない。譲渡制限特約付き債権の譲渡は特約があっても原則有効(466条2項)、保証契約は書面が必要(446条2項)であり他の選択肢は誤り。

公式過去問 / 民法/区分所有法 / 令和5年度 問29

甲マンションの住戸101号室をA、B、Cの3人が共有し、住戸102号室を所有者に無断でDが占有している場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び判例によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 4. 102号室について、Dは、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定される。

占有者は所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ公然と占有するものと推定される(民法186条1項)。この推定は無権原の占有者にも及ぶ。共有物の不分割特約(5年以内)がある場合は分割請求できず、共有物分割は協議不調の場合に裁判所が現物分割も競売分割も選択でき、共用部分の共有持分のみを時効取得できないとする限定はない。

公式過去問 / 区分所有法 / 令和5年度 問33

団地内建物の建替え決議に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、不適切なものはいくつあるか。ア団地内建物の建替え決議については、一括建替え決議をする場合でも、団地内の特定の建物のみを建て替える場合でも、いずれも、全ての建物が専有部分のある建物である必要はない。イ一括建替え決議は、団地内建物の敷地が、その団地内建物の区分所有者全員の共有になっている場合でなければならない。ウ団地管理組合の規約の定めにより、団地内の専有部分のある建物の管理を棟別の管理組合で行うことになっている場合には、その規約の定めを、団地管理組合の管理で行う旨に改正しない限り一括建替え決議はできない。エ団地内の特定の建物のみで建替え決議をする場合には、当該建物の建替え決議に加えて、団地管理組合の集会において、敷地共有者の数及び議決権の各4分の3以上の特別多数による建替え承認決議と、当該建替えによって特別の影響を受ける者の承諾が別途必要である。

正解: 2. 二つ

団地内建物の建替え決議・一括建替え決議・建替え承認決議に関する区分所有法69条・70条の要件(敷地の共有関係、団地管理組合による一元管理への規約変更の要否、特別多数決議の要件、特別の影響を受ける者の承諾等)についての各記述の当てはめは、一次資料で十分な裏付けが取れていない。

補足: 団地関係の規定は12話のいずれにも明示的に対応しないため episode は0とした。各記述(ア〜エ)の正確な当てはめは今回確認できておらず、正解数(2つ)は元データの公式解答をそのまま採用している。

公式過去問 / 民法 / 令和6年度 問1

共有に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 1,4. 裁判所は、共有者やその所在が不明な共有建物について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、管理不全建物管理人による管理を命ずる処分をすることができる。

本問は共有に関する民法の規定を問うもの。選択肢1は、所在等が不明な共有建物への対応として本来は民法264条の8「所有者不明建物管理制度」が適用される場面を「管理不全建物管理人」(264条の14、所有者が判明していても管理が不全な場合の別制度)と取り違えていると考えられる。選択肢4は、相続財産に属する共有物の遺産分割前の分割制限(民法258条の2)に関する記述だが、相続人からの異議申出があった場合の例外など細部を欠く点が問題視されたとみられる。

補足: 本問は協会公式解答で正解が「1・4」の複数(不備問題)として発表されている。

公式過去問 / 標準管理規約 / 令和6年度 問37

次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)、標準管理規約(団地型)及び標準管理規約(複合用途型)によれば、不適切なものはいくつあるか。ただし、「標準管理規約」とのみ記載の場合は、標準管理規約(単棟型)、標準管理規約(団地型)及び標準管理規約(複合用途型)を全て含むものとする。ア標準管理規約は、マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者及び団地建物所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的としている。イ標準管理規約は、管理組合が、各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として定めたものであり、特別な事情がない限りこれに準拠しなければならない。ウ標準管理規約(団地型)では、管理主体は団地建物所有者であり、共用部分と土地は、それぞれ団地共用部分と棟別共用部分、団地の土地と棟別敷地に区別され、団地と棟別の管理費等の収支については、それぞれ団地総会と棟総会によって議案が決議される。エ標準管理規約(複合用途型)では、住宅部会と店舗部会の管理組織が構成されるため、店舗部分の承継人は、元の区分所有者が滞納した店舗一部管理費と店舗一部修繕積立金のみを承継することになる。

正解: 3. 三つ

正解は3(不適切なものは三つ)。標準管理規約はあくまで各マンションが規約を制定・変更する際の「参考」として定められたものであり、これに「準拠しなければならない」という拘束的な表現は同規約の位置づけと整合しないと考えられる(イ)。標準管理規約(複合用途型)における店舗部分の特定承継人は、区分所有法8条により、店舗一部管理費等に限らず前区分所有者が滞納した債務を承継するのが原則であり、「店舗一部管理費と店舗一部修繕積立金のみ」と限定するエは誤り。団地型標準管理規約における敷地の位置付け(団地の土地と棟別敷地への区分)についても、団地型の基本構造(敷地は団地建物所有者全員の共有として一体的に扱われる)と整合しない可能性がある(ウ)。アの目的規定(共同の利益の増進、良好な住環境の確保)は標準管理規約の趣旨に沿う。

補足: ウ(団地型規約における「棟別敷地」の位置付け)の当否については一次情報で完全には確認できておらず、確信度は高くない。

公式過去問 / 不動産登記法 / 令和6年度 問42

次の記述のうち、不動産登記法によれば、最も不適切なものはどれか。

正解: 1. 登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成され、権利部は、甲区及び乙区に区分され、抵当権に関する登記事項は甲区に記録される。

正解は1(最も不適切)。登記記録の権利部は甲区(所有権に関する事項)と乙区(所有権以外の権利に関する事項)に区分され、抵当権に関する登記事項は所有権以外の権利であるため乙区に記録される。選択肢2(共同申請の原則)、3(区分建物の表題登記は一棟の他の区分建物分と併せて申請)、4(区分建物の床面積は壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出)は不動産登記法の内容に沿う。

公式過去問 / 民法 / 令和7年度 問1

次の事例のうち、民法の規定によれば、善良な管理者としての注意義務まで求められないものはどれか。

正解: 4. Aが、同居していたAの父Bが生前所有していた家屋甲にBの死亡後も継続居住しているが相続は放棄している。この場合における、相続人又は相続財産の清算人に引き渡すまでのAの甲についての注意義務。

相続放棄をした者が放棄の時に現に占有している相続財産は、相続人又は相続財産の清算人に引き渡すまでの間「自己の財産におけるのと同一の注意」で足り、善管注意義務までは求められない(民法940条)。事務管理・留置権・無償受任のケースはいずれも善管注意義務を負う。

公式過去問 / 民法 / 令和7年度 問2

委任契約と寄託契約との異同に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。

正解: 2. 受任者も受寄者も、契約の相手方の許諾(承諾)を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、第三者に当該契約を履行させることはできない。

受任者・受寄者はいずれも、相手方の許諾又はやむを得ない事由がなければ第三者に自己に代わって委任事務・寄託物の保管をさせることはできない(民法644条の2第1項、658条2項)。寄託契約は改正民法上は要物契約ではなく諾成契約であり、委任契約は有償無償を問わず善管注意義務を負う点などから他の選択肢は誤り。

公式過去問 / 民法 / 令和7年度 問3

1から4までのうち、Aと建設会社Bとの間で建物甲の建築工事の請負契約が締結された場合に関し、民法の規定によれば、適切な記述のみを全て含むものはどれか。アBは、甲が完成しない間は、Aに損害を賠償して当該契約を解除することができる。イ建築中の甲の所有権の帰属は、原則として、材料の所有者によって定まる。ウ落雷による森林火災が原因で建築中の甲が焼失し、完成が不能となってしまった場合には、Aは、Bの報酬請求を拒むことができる。

正解: 3. イ・ウ

建築中建物の所有権は判例上原則として材料提供者に帰属する(イ)。落雷等の双方無責の事由により完成不能となった場合、注文者は民法536条1項により報酬の支払を拒むことができる(ウ)。仕事完成前の注文者の任意解除権(民法641条)は注文者側の権利であり、請負人Bが解除できるとするアは誤り。